コインベース、仮想通貨デリバティブ大手デリビットを約4,230億円で買収合意 時価総額1兆ドル企業へ現実味

2025年5月8日、仮想通貨取引所大手のコインベースが、デリバティブ取引所デリビット(Deribit)の買収で合意したと発表した。
買収額は約29億ドル(約4,230億円)である。
専門家は、今回の買収がコインベースの成長を加速させ、将来的に同社が時価総額1兆ドル規模に達する可能性を指摘している。
包括的なデリバティブ戦略に本腰、買収完了で即時拡大へ
コインベースが発表したのは、仮想通貨デリバティブ取引所デリビットの買収である。
買収金額は約29億ドル(約4,230億円)に上り、完了時期は2025年末を予定している。
現在、米国および関連する国際規制当局による認可を待つ段階にある。
コインベースは長らくこの分野への本格参入を模索しており、2025年3月には、買収に向けた交渉を進めてきたと報道があった。
買収対象のデリビットは、オプション取引を中心としたサービスを展開しており、建玉(未決済契約)の規模は約300億ドルに達する。
今回の買収を通じて、コインベースは包括的なデリバティブプラットフォームの構築を目指している。
即座に市場シェアを獲得できるほか、収益源の多様化やグローバル戦略の加速にもつながるとされている。
デリビットのCEOであるルーク・ストライヤーズ氏も、買収後はトレーダーに対するサービス拡充が可能になると歓迎の姿勢を示している。
※デリバティブ:資産価格に連動して価値が決まる金融商品の総称。先物やオプションなどが代表例で、ヘッジや投機の手段として利用される。
規制対応が成否を左右 “1兆ドル企業”への試金石となる買収劇
Bitwiseの最高投資責任者マット・ホーガン氏は、「これは非常にすばらしい買収だ。コインベースはいつか、1兆ドル企業(時価総額)になるだろう。」とコメントした。
また、かつてコインベースに在籍していたスペンサー・ヤン氏も、「グローバルなデリバティブ取引サービスは、コインベースの成長に重要な事業だ。」と評価している。
特に注視すべきは、今後の規制環境の動向である。
もし米国において、デリバティブ取引の明確な法的枠組みが整備されるのであれば、コインベースは法令遵守を武器にさらなる拡張を遂げることになるだろう。
反対に、規制が過度に厳格化されれば、運営コストの増大やサービス提供範囲の制限といった逆風となる可能性もある。
今回の買収は、単なる規模拡大にとどまらず、コインベースの企業価値を根本から見直す転換点となる可能性が高い。
今後は、市場拡大の追い風を受けつつも、内部統制との均衡をいかに保つかが、その真価を問われる重要なポイントとなるだろう。