LINE NEXTとKaia DLT財団、テザーと連携 Mini DappでUSDT決済導入へ

LINEヤフーのグループ会社であるLINE NEXTは2025年5月8日、Kaia DLT財団とともに、米Tether社と提携し、米ドルに連動するステーブルコイン「USDT」をLINE NEXTプラットフォーム上のWeb3サービスに導入することを発表した。
決済手段の拡充を通じ、LINE Mini Dappの利便性を高め、アジア地域におけるWeb3サービスの定着を狙う動きが進んでいる。
LINE Mini Dappの決済インフラが強化へ
今回の提携により、LINE NEXTが提供するMini Dappおよびウォレットで、Kaiaブロックチェーンを基盤としたUSDTが決済・送金手段として利用可能になる予定だ。
USDTは価格の安定性を持つステーブルコインであり、ユーザーがWeb3サービス上での決済や送金をスムーズに行える環境の構築が期待されている。
具体的には、ミニゲームやコミュニティサービスなどのDapp内で、ユーザーが保有するUSDTを活用し、直接支払いが行える仕組みを整備する。
また、LINE NEXTはUSDTをリワードとして提供するインセンティブプログラムも展開予定である。これにより、ユーザーはアクティビティに応じてUSDTを獲得し、それを他のサービスで再利用することでWeb3体験を循環的に拡張していけるようになる。
日常的な利用のハードルを下げる設計であり、これまで暗号資産に触れたことのない一般ユーザー層への普及も見込まれている。
LINEのMini Dappは1月のサービス開始以降、韓国、日本、台湾を中心に累計5,000万回以上の利用を記録しており、既存のユーザーベースを背景としたスケールメリットがUSDT導入を後押ししている。
戦略的提携がもたらす今後の展望
LINE NEXTの代表コ・ヨンス氏は今回の提携について、「USDTの導入により、アジアにおけるドルのゲートウェイを提供していきたい」と述べている。
実際、アジアの一部地域では、法定通貨よりもドルに対する信頼性が高く、ドル建てステーブルコインの導入がサービス利用の敷居を下げる可能性がある。
今後、既存の金融サービスが限定的な市場において、モバイルベースのUSDT決済がデジタル経済圏の拡張に寄与することが期待されている。
今回の提携は単なる通貨導入にとどまらず、LINE NEXTが推進するWeb3エコシステム全体におけるユーザー定着戦略の一環であると位置づけられる。
ミニアプリとしてのMini Dappは既にエンタメ、教育、金融といった多分野に展開しており、そこに安定通貨としてのUSDTが加わることで、商取引や報酬配布、ゲーム内経済圏など多様なユースケースの実現が現実味を帯びてくる。
一方で、ステーブルコインに対する各国の規制動向などに関する懸念も引き続き注視すべき点だ。特に日本国内では、ステーブルコインの取り扱いに対する法的整備が進行中であり、サービス展開には慎重な対応が求められるだろう。