トランプ氏のAI画像投稿が物議 米カトリック界に波紋

2025年5月2日、米ドナルド・トランプ大統領が、自身がローマ教皇の姿に変換されたAI生成画像を自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、カトリック信者を不快にさせるものとして非難を浴びた。その後5日、この画像について「どこから来たのか全く分からない」と述べ、画像作成に関与していないと主張した。
https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/114441543826801216
「教皇の死去から1週間後」に投稿されたAI画像が波紋 宗教界は激しく反発
トランプ氏が5月2日に投稿したAI画像は、自身が白い法衣をまとい、ローマ教皇の姿を模したものであった。
画像はAI技術により生成されたものであり、視覚的には巧妙で一見ユーモラスにも見える内容だったが、教皇フランシスコの葬儀からわずか1週間というタイミングが多くの人々の感情を逆なでした。特に、信仰心の篤いカトリック信者や宗教指導者たちからは「無神経」「敬意に欠ける」といった批判が殺到している。
ニューヨーク州のカトリック司教団は、「私たちは愛する教皇フランシスコを埋葬したばかりであり、新たな後継者を選出する厳粛なコンクラーベに入ろうとしている。私たちをからかわないでほしい」とする公式声明を発表し、強く抗議の意を示した。
宗教的権威を風刺するような行為に対して、米国内だけでなく、バチカン市国や南米諸国など世界中の信者たちからも反発の声が上がっている。
一方で、トランプ氏はこの件について5日、「画像は自分が作成したものではなく、誰かが冗談で作ってネットに投稿した」と釈明。「どこから来たのか分からない」とし、自身の関与を否定した。
また、妻メラニア氏が画像について「かわいいじゃない」と言ったことを挙げ、深刻に受け止める必要はないと強調。「カトリックの人々の多くはこの画像を楽しんでいる」とも述べ、宗教界からの批判に対して真っ向から反論した。
教皇選出控えるタイミングに政治的影響も トランプ氏の今後の動向に注目
この一件が持つ社会的・政治的影響は小さくない。教皇フランシスコの死去により、カトリック界は新たな指導者を選出する「コンクラーベ」に突入する重要な時期を迎えている。
そんな中でのトランプ氏による今回の投稿は、意図的なものでないにせよ、極めてセンシティブな瞬間を軽視したものとして受け取られている。
加えて、今回の騒動はAI技術と政治的表現の関係性についても議論を呼んでいる。トランプ氏は楽観的だが、AI生成コンテンツが宗教的シンボルや歴史的背景を持つ存在に及ぶことのリスクが浮き彫りとなった。
また、AIコンテンツが持つ「誰が作ったか分からない」という特性は、政治的責任の所在を曖昧にする可能性がある。トランプ氏の「関与していない」という主張は一定の説得力を持つが、それでも本人がシェアした事実が消えるわけではない。
今後、AIコンテンツの流通と政治家の利用に対するガイドライン整備の必要性が高まると考えられる。