スタンダードチャータードが予測 BNBは2028年末までに2775ドル到達か

2025年5月6日、英国のスタンダードチャータード銀行は、暗号資産BNB(バイナンスコイン)の価格が2028年末までに2775ドルへ上昇する可能性があるとの予測を公表した。独自のレポートに基づき、同銀行はBNBチェーンの機能性や市場におけるバイナンスの立ち位置を成長要因として評価しているとみられる。
バイナンスの存在感が支えるBNBの成長予測
この予測は、スタンダードチャータードのデジタル資産リサーチ責任者であるジェフ・ケンドリック氏が主導した調査に基づくものである。
報告書によれば、BNB(※1)はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を含む非加重バスケットと同様の価格変動パターンを2021年5月以降に示しており、この相関関係が今後も継続すれば、価格の大幅な上昇が見込めるという。
BNBは現在、約600ドル前後で推移しているが、同氏はこれが2028年末には2775ドルまで上昇する可能性があると分析している。
その背景には、バイナンスが依然として世界最大規模の中央集権型取引所(CEX)としての地位を維持していることがある。この支配的ポジションがBNBの需要と流動性を高めており、長期的な成長に寄与すると考えられている。
さらに、BNBチェーンの機能性にも注目が集まっている。分散型取引所やレンディング、リキッドステーキングといった用途に使用されることがほとんどであり、競合するイーサリアムやアバランチよりも「より集中的で『昔ながらの』スマートコントラクト(※2)プラットフォーム」であるとケンドリック氏は指摘した。
今後の展望 規制と競合動向が鍵を握るか
今後BNBが順調に成長するかどうかは、バイナンスを取り巻く規制環境や業界構造の変化に大きく左右されるとみられる。特に、グローバル市場における暗号資産取引所に対する監督強化の動きは、BNBのユーティリティ性や需要にも影響を及ぼす可能性があるだろう。
一方で、BNBチェーンの設計は、ユーザーにとって比較的容易に利用できる点が評価されており、特に新興国市場などインフラ整備の進んでいない地域では、高い実用性を持つと期待されている。
こうした観点からも、今後の普及フェーズにおいてBNBは独自のポジションを確保し続ける可能性があると考えられる。
また、競合プラットフォームの動向にも注視が必要だろう。イーサリアムは依然としてスマートコントラクトの主流であり、アバランチやソラナといった新興勢力も存在感を増している。
BNBが価格上昇を遂げるためには、これらの競合との差別化をいかに保ち続けるかが焦点となるだろう。
※1 BNB(バイナンスコイン):バイナンスが開発・運営するレイヤー1ブロックチェーン「BNBチェーン」のネイティブトークンであり、取引手数料支払いやDeFi(分散型金融)などに活用されている。
※2 スマートコントラクト:あらかじめ定められた条件に従って自動的に実行されるプログラム。主にブロックチェーン上で利用され、仲介者不要の取引を実現する。
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