AIリテラシー資格「G検定」 累計合格者数10万人を突破

2025年4月30日、日本ディープラーニング協会(JDLA)は、AI資格「G検定」の累計合格者数が10万人を超えたと発表した。国内でAIリテラシーの必要性が高まるなか、この数値は一つの節目となる。
社会の変化に呼応するAI資格、G検定の急成長とその背景
G検定は、2017年12月に開始された民間資格で、人工知能(AI)およびディープラーニング(※)に関する基礎知識の習得を目的としている。検定を主催するJDLAは同年6月に設立され、東京大学の松尾豊教授が理事長を務めている。
初回の受験者数は1448人で、そのうち823人が合格している。その後も受験者数は増加を続け、開始から約3年後の2020年には累計合格者数が3万人を超えた。
2025年4月実施の第2回試験でついに累計10万人の合格者を達成し、AI活用に対する関心の高さが改めて浮き彫りとなった。
特筆すべきは、受験者の年齢層の広がりだ。
最も多いのは20代で、全体の約30~40%を占める。30代、40代の中堅層も安定した割合を維持しながら受験しており、50代以上の受験者・合格者も着実に増加している。
業種の広がりも目覚ましい。
当初は情報処理やソフトウェア業界からの受験者が中心だったが、近年は金融、保険、不動産といった他業種からの受験者も増加傾向にある。
さらに、営業や人事、総務、経理など非エンジニア領域の合格者も目立ち始めており、AIの基礎知識が業種・職種を問わず求められていることがうかがえる。
10万人突破が意味する未来 AI教育の次なる展望
G検定の合格者数10万人突破は、数字以上に意味を持つと考えられる。
企業にとっては、AIプロジェクトを円滑に進行させるための共通言語を持つ人材が増加したことを意味し、社会にとってはAIと人間が共生する基盤づくりが進行しているとも言える。
ChatGPTなど生成系AIの普及に伴い、AIを「作る力」だけでなく「使う力」の育成が急務となっている。G検定はその起点として、AIを理解し、ビジネスに活用できる人材の育成に貢献し続けるだろう。
今後、G検定は「エントリー資格」としての地位を確立し、より高度なAIスキルを問う上位資格や実践型教育プログラムとの接続が求められるのではないだろうか。
教育現場や行政機関との連携を強化させることができれば、より若い層や地方にもAI教育を広げられる可能性がある。
また、より実践的なケーススタディの導入や、職種別・業界別の応用プログラムとの連動が進められる可能性も高いだろう。
社会全体でAIを活用する素地を広げる上で、G検定は引き続き中心的な役割を果たしていくと思われる。
※ディープラーニング:人間の脳神経構造を模倣したニューラルネットワークを用いた機械学習技術。膨大なデータからパターンや特徴を抽出し、音声認識や画像分類などに高精度な成果を発揮している。