東京エレクトロン、生成AI向け半導体製造装置で営業利益7270億円

2025年4月30日、東京エレクトロンは2026年3月期の連結営業利益が前年比4.3%増の7270億円に達する見通しだと発表した。
生成AI向け半導体製造装置の需要が堅調に推移しており、同社は2年連続で過去最高益の更新を目指す。
AI需要が業績をけん引、営業益4.3%増の背景に拡大する半導体市場
東京エレクトロンは、2026年3月期の営業利益が7270億円になるとの予想を示した。これは、前期比で4.3%の増加となり、2025年3月期の実績を上回る見込みである。
業績拡大の原動力となっているのが、生成AIを支える半導体製造装置の需要だ。
とりわけ、データセンターやクラウド基盤の構築に向けた投資が世界的に加速しており、それに伴い先端プロセス向け装置へのニーズが高まっている。
同社は中間配当245円、期末配当373円を予定しており、年間配当合計は過去最高の618円に達する見通しである。株主還元の強化は、投資家からの関心をさらに集める材料になりそうだ。
一方で、米中貿易摩擦の影響については不確定要素が残る。現時点では米国からの関税は業績に大きな影響を及ぼしていないものの、将来的な制度変更の可能性は排除できないとされる。
これに対し、同社の川本弘常務執行役員は「何か大きな変更があったという情報は今の時点ではない」と述べており、サプライチェーンの再構築や在庫調整といった対応は現段階では行っていないと説明している。
市場拡大の恩恵と今後の展望
東京エレクトロンが2026年3月期に営業利益7270億円を見込む背景には、生成AIを中心とした先端半導体製造装置への強い需要がある。
一般社団法人日本半導体製造装置協会(SEAJ)の予測によれば、2026年度の日本製半導体製造装置の販売高は前年比10%増の5兆1249億円に達するとされており、AI関連半導体の需要拡大が主因とされている。
特に、オンデバイスAIの普及により、PCやスマートフォン向けの高性能・低消費電力な半導体の需要が増加し、それに伴う製造装置への投資も拡大する見通しだ。
また、世界半導体市場全体も成長が続くと予測されている。Gartnerのレポートでは、2025年の世界半導体売上高は前年比13.8%増の7167億米ドルに達するとされており、AI関連(特にGPU)の需要が成長を大きく牽引するとされている。
このような市場環境は、東京エレクトロンの業績にも好影響を与える可能性が高い。
ただし、地政学的リスクや国際的な輸出規制の強化など、外部環境の変化には注意が必要だ。
特に、米中間の貿易摩擦や半導体関連の輸出規制が強化される場合、サプライチェーンの再構築や事業戦略の見直しが求められる可能性がある。総じて、生成AIの進展とそれに伴う半導体需要の拡大は、東京エレクトロンの成長を支える大きな要因となるだろう。
同社が技術革新への対応力を維持し、柔軟な事業戦略を展開することで、今後も安定した成長が期待される。