ディープシーク、是正勧告受け韓国語版個人情報取り扱い方針を公開 韓国政府による規制強化の波紋
2025年4月28日、ディープシーク（DeepSeek）は韓国政府からの是正勧告を受け、韓国語版の個人情報取り扱い方針を新たに公開した。本件は韓国国内におけるデータ保護規制の厳格化を象徴する動きであり、海外企業の事業展開に重大な影響を与える可能性がある。
ディープシークの対応と、韓国政府によるデータ保護強化の背景
ディープシークは中国に本拠を置く生成人工知能（AI）サービス企業であり、グローバル市場への展開を積極的に進めてきた。
しかし、韓国では個人情報保護の重要性が高まっており、特に国外へのデータ移転に関する透明性と合法性が強く求められている。
こうした状況下で、韓国の個人情報保護委員会がディープシークに対し実態調査を実施した結果、いくつかの問題点が浮上した。
調査によれば、ディープシークは個人情報を国外に移転する際、利用者の適切な同意を得ていなかったことが判明した。
また、ユーザーがAIに入力したプロンプトの内容が中国企業に提供されていた事実も確認され、プライバシーへの関心が高まる韓国社会において深刻な懸念を引き起こしている。
これを受けて、韓国政府はディープシークに対し、個人情報の国外移転に関する合法的な根拠の設置、プロンプト情報の即時削除、そして韓国語での個人情報取り扱い方針の公開という3つの是正勧告を提示した。
ディープシークはこの指摘を受け、韓国向けに新たな付則を設け、韓国の個人情報保護法に準拠する姿勢を明確に打ち出した。
加えて、利用者が自らのデータ移転を拒否できる権利についても明示するなど、対応の強化を図っている。
アプリ停止とディープシークの今後 韓国市場におけるリスクとチャンス
現在、ディープシークのアプリは韓国国内のアプリストアにおいて新規ダウンロードが停止されている。この措置は、個人情報保護委員会による調査結果と是正勧告の影響によるものであり、再開の見通しは現時点では立っていない。
ユーザー保護を重視する韓国の風土を踏まえれば、慎重な対応が求められる局面だと言える。
さらに、今回の問題は韓国だけにとどまらず、他国でも同様の規制対応を迫られる可能性を示しており、グローバル企業にとってリスク管理の重要性が改めて浮き彫りになった形だ。
一方で、今回の是正対応を通じて、ディープシークは透明性の確保と規制順守をアピールするチャンスを得たと見ることもできる。韓国市場はテクノロジーへの感度が高く、厳しい規制基準をクリアした企業に対する信頼度は高まる傾向がある。
今後、ディープシークが韓国政府との対話を深め、運営方針をさらに明確化すれば、むしろブランド価値を高める可能性も否定できない。
韓国では今後も個人情報保護に関する規制強化が進むと予想される。ディープシークを含む外国企業にとっては、単なるリスク回避だけでなく、ローカル市場に根ざした信頼構築が、事業継続と成長の鍵となるだろう。
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