Axie Infinityは終わったBCGなのか?その誕生と変遷から展望を予測する
この記事ではBCGの先駆者として有名な「Axie Infinity」について改めて深堀します。名前は知っているが、その機能や変遷まで詳しく知らない方も多いかと思いますので、改めて勉強する参考になれば幸いです。
Axie Infinity とは?
「Axie Infinity」は、ベトナムの開発企業SkyMavis社によって2018年にリリースされたブロックチェーン・ゲーム(BCG)です。
2021年には大ブレイクし、最盛期は1日のアクティブユーザーが280万人を超えるなど、BCGブームの火付け役となるほどの盛り上がりを見せました。最盛期からは落ち着きましたが、現在も高い人気を誇るBCGです。
ゲームの内容
アクシー(Axie)と呼ばれる仮想生物を育成や繁殖、他のユーザーとのバトルやトレードなどを行うことができるゲームです。
育てたアクシーはNFTとなっており、ユーザーのウォレットに保管されています。そのアクシーは専用のNFTマーケットプレイスにて売買が可能となっています。
また、バトルでの勝利などで、ゲーム内のユーティリティトークンである「SLP(Smooth Love Potion)」を獲得することが可能となっています。
ブロックチェーン情報
Axie Infinityはイーサリアムのガス代の高騰なども問題もあり、「Ronin」という独自のブロックチェーンを開発しています。なので、GameFiによる細かいトランザクションに対応することができています。
そういった背景もあり、Axie Infinityには3つのトークンが存在しています。
3つと聞くとややこしいかもしれませんが、RONがチェーンのトークンだと考えると他のBCGと比較しても大きく異なることはありません。
例えば、STEPNも2種類のトークン(GSTとGMT)とチェーン独自のトークン(例えばSolana)が存在します。NFTとしてのスニーカーの売買はSolanaトークンを使用し、スニーカー購入後のゲーム内のやり取りはゲーム内トークンを活用します。
これと同様に、アクシーの購入や売買はRoninチェーンで実行されるため、RONトークンで行われ、ゲーム内ではSLPとAXSトークンでやり取りします。
プレイ方法
基本的にはアカウントを作成し、アクシーを購入することでプレイが開始できます。
注意事項としては「Ronin Wallet」というウォレットの作成が必要となり、そのウォレットにイーサリアムを送金しておく必要があります。これは前述したようにAxie InfinityがRoinチェーン上に構築されているからです。Ronin Walletの構築自体はMetaMaskと同様にChromeの拡張機能に追加する形で簡単にできます。
主な機能アップデート
ここからはAxie Infinityの主な機能アップデートについてまとめていきます。細かいゲームの仕様やユーザー体験の改善ではなく、大きめのアップデートに焦点を当てて紹介していきます。
Land
2022年末、Landと呼ばれるプレイグラウンドを購入して、Axieを飼うことができるようになりました。Landはまだリリースされたばかりでこれから様々な機能やゲームが解禁されていく予定ですが、既存のゲームの幅を大きく広げる存在として期待されています。
アクセサリー
アクシーに装着できるアクセサリー機能です。アクセサリー自体もNFTとなっておりマーケットプレイスでの売買も可能です。2023年1月よりスタートしました。
無料スタート
2022年4月に実装された「Origin」アップデートによって、無料からでもスタートできるようになりました。それまではNFTのアクシーを購入しなければプレイできませんでしたが、以降は無料でもプレイ可能となりました。
より多くのアクシーを入手したり、効率的にSLPを収集するためにはアクシーの購入が必要となりますが、プレイ自体は無料からでもスタートできるようになりました。
ハッキング被害に遭う
アップデートではありませんが、主要なニュースとして紹介します。
Axie Infinityのサイドチェーンを開発する「Ronin Network」は、2022年3月にセキュリティの穴をつかれ、イーサリアムが17万3,600ETH(720億円相当)、米ドルステーブルコインのUSDCが2,550万枚(31億円相当)盗難されたことを発表しました。
その後、17万3,600ETHのうちの56,000ETHはアクシーインフィニティトレジャリーに属するものだったことがわかり、Axie Infinityの安全性を揺るがす大事件となりました。
大ヒットの理由と展望
Axie InfinityはBCGの先駆者としても語られ、2021年に世界中でブームになるほどのヒットを見せました。最後に、そのヒットの理由と展望を考察します。
ヒットの理由
筆者はそのヒットの理由は「革新的な仕組み」と「スカラーシップ制度」にあると考察しています。大前提にあるゲームとしての面白さはありますが、BSGとして世界的にヒットした理由は2つだと考えています。
まず一つ目の「革新的な仕組み」ですが、その当時BCGという形が革新的で、ゲームで稼げるなんてことは漫画の世界の話だったので、話題となりました。これはCryptoPunks等と同じく、最初の事例であったが故に注目されていたという理由です。
そして、続く2つ目の「スカラーシップ制度」こそがヒットに大きく寄与していると考えています。
スカラーシップ制度とは、アクシー(NFT)をレンタルできる制度です。つまり、アクシーを持っているけどゲームをプレイする時間がない人とアクシーを購入するお金がないけど時間はある人をマッチングさせる機能と言えます。そして、そこで手に入れた収益を分配するわけです。
これが東南アジアを中心とした発展途上国の間で大流行しました。Axie Infinityをすることで生活をする人も生まれるなど、発展途上国の人の”仕事”になることで、単なる余暇やエンタメではなく、社会課題を解決する存在にまでなりました。
そもそもの開発会社が、ベトナムの会社ということで、スカラーシップ制度による収益の分配機能は東南アジアを中心に非常に人気が出ました。おそらくこの成功を受けて、この後のBCGも基本的にスカラーシップ制度がつくようになりました。
以上、当時はBCGという革新的な仕組みであり、スカラーシップ制度があることで社会課題も解決するゲーム以上の存在になったことが世界中でヒットとなった理由だと考えられます。
展望
それらを加味して展望を考察します。
大ヒットしたAxie Infinityですが、そのAXSの価格を見ても最盛期からは程遠い金額となっていることがわかります。
こちらはトランザクション数や新規ユーザー数の推移です。こちらを見ても2021年のピークからは下がっていることはわかります。
ですが、現在も世界中にユーザーを抱えており、LANDやアクセサリー機能が新しく実装されるなど、ゲームとしての進化は続いています。
現在は一過性のバブルが弾け、投機目的で参入したいたユーザーが消え、純粋にゲームとして楽しむユーザーに支えられている状態と言っても良いかもしれません。
すべてのBCGは投機目的のユーザーによってゲーム自体が荒らされてしまい、価格の乱高下でゲーム自体が終了せざるを得ない状況に追い込まれてしまう、またはそれに近い印象がついてしまう可能性があります。
そう考えると、ゲームを楽しむユーザーに支えられているこの状況はむしろBCGにとって理想的な状況と言えます。バブルを乗り越えた先にBCGとして持続的な体制を築くため、「Play to Earn」ではなく「Play & Earn」となるような試行錯誤が続いていきます。
ヒットが強烈であったが故にすでに終わってしまったBCGという印象を持つ人も多いかもしれませんが、実はAxie Infinityは今なおBCG領域の先頭を走っているのかもしれません。
引き続き注目していきます!
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