AI投資で「元本減らず毎月利益」謳い1045万円詐取 三重・桑名で高額詐欺被害発生

三重県警桑名署は2025年4月24日、桑名市の60代男性がマッチングアプリで知り合った女性名の人物にAI活用の投資話を持ちかけられ、現金約1045万円をだまし取られたと発表した。AIという言葉が信用を誘う手口が、今後さらに巧妙化する可能性もある。
マッチングアプリを足がかりに巧妙化するAI詐欺の実態とは
事件が発生したのは、2025年3月28日から4月14日までの間。三重県桑名市に住む60代の男性が、マッチングアプリを通じて「由美」と名乗る女性と知り合ったのが発端である。やり取りはLINEに移行し、そこで投資の話が持ち上がった。
女性は「1000ドルの元本は永遠に減らず、毎月最低8ドル稼げる。AIが運用して利益を生む」といった趣旨のメッセージを送信。男性はこの話を信じ、計7回にわたって現金を送金したという。送金額の総額は1045万円に上る。
最後には保証金の支払いを要求され、不審に思った男性が家族に相談。そこでようやく詐欺であることに気づき、警察に通報した。
この事件は、AIというバズワードを悪用した典型例だと言える。かつては「必ず儲かる株情報」や「海外不動産」などが詐欺の常套手段だったが、今は「AI投資」「暗号資産自動運用」といった、時代の信頼を借りた言葉が新たな武器になっている。
実際、近年はマッチングアプリをきっかけに信頼関係を築き、時間をかけて金銭を搾取する手口が増加している。
信頼性が見えにくいAI時代の「新型詐欺」に、どう立ち向かうべきか
今回のような詐欺事件は、高齢者を中心に今後も増加が懸念される。特にWeb3やAIといった先端技術に詳しくない人々にとって、それらを使った投資話は魅力的に映る。
しかし、その技術が本当に存在しているか、運用主体が実在しているかを検証する手段は限られている。
AIという言葉に過度な信頼を置かず、第三者による裏付けのない投資話には耳を貸さない姿勢が必要だ。とくに「元本保証」「絶対に損をしない」といった言葉が含まれる提案は、詐欺である可能性が極めて高いと考えられる。
マーケティングや営業の世界でもAIは加速度的に導入が進んでいるが、それに伴ってその知識を悪用する側も出現している。
今後、生成AIの普及がさらに進めば、詐欺師が作る“もっともらしい”資料や偽サイトも増えていくことが予想される。
情報化社会の中では、技術の進歩とともに「信じるべき情報」を見極める眼も進化させなければならない。