富士通とSupermicro、生成AI基盤で提携強化 自社専用環境向けAIマネージドサービスを7月開始

2025年4月23日、富士通と米Supermicroは、生成AIの自社専用環境向け基盤を共同で提供する戦略的提携を発表した。
高性能GPU搭載のOEMサーバーや水冷技術、統合管理ツールを組み合わせ、企業がインフラを保有せずに生成AIを活用できるマネージドサービスを2025年7月から提供開始する。
生成AIの自社専用環境ニーズに応える、富士通とSupermicroの包括的提携
富士通とSupermicroは、生成AIの活用において企業が直面する課題、特に機密情報の取り扱いやインフラ構築の専門性不足に対応するため、戦略的提携を強化した。
この提携により、Supermicro製の高性能GPU搭載サーバーを富士通がOEM製品として提供し、自社専用環境での生成AI活用を支援する体制を構築した。
提供されるサーバー「PRIMERGY GX2570 M8s」は、10Uサイズの空冷モデルと4Uサイズの水冷モデルの2種類があり、どちらも最新のNVIDIA HGX B200 GPU(※1)を搭載している。これにより、大規模な生成AI処理に対応可能な高性能計算環境を実現する。
さらに、富士通はSupermicro製品向けに、世界初となる水冷サーバーおよびGPUサーバーの保守サービス「SupportDesk」を提供する。
このサービスは、全国約700拠点に配置された約4,000人のエンジニアによる、約2時間以内のオンサイト対応を可能とし、高品質なサポート体制を整えている。
また、統合管理ツール「Infrastructure Manager」により、サーバーの導入から監視、更新までのライフサイクル管理を容易にし、Supermicro製GPU搭載サーバーと既存のx86サーバー「PRIMERGY」の統合運用管理を実現する。
※1 NVIDIA HGX B200 GPU:
NVIDIAが提供する高性能GPUで、特に生成AIやディープラーニングなどの大規模な計算処理に最適化されている。
企業による生成AI活用の今後の展望
富士通は、これらのOEM製品や保守、統合管理のサービスと、企業向け大規模言語モデル「Takane(※2)」を組み合わせ、生成AIの活用基盤をトータルに提供するマネージドサービスを2025年7月から提供開始する予定である。
このサービスにより、企業は自社でインフラを保有することなく、必要なサイズの生成AI基盤を利用できるようになる見込みだ。
特に、機密情報や個人情報を取り扱う業務で生成AIを活用する際の、意図しない学習リスクや情報漏洩、情報の保管場所に対する社内規定などの課題に対応する自社専用環境が提供される。
また、高度な専門知識を持つ人員が不足している企業にとって、生成AIの活用に必要な高性能なGPUを搭載したサーバーや保守・運用におけるサポート、サーバーの安定稼働を支える管理ツールなど、包括的な提供を行う富士通のマネージドサービスは、導入のハードルを大幅に下げると思われる。
今後、生成AIの導入を検討する企業にとって、両社の提供するマネージドサービスは有力な選択肢となるだろう。
※2 Takane:
富士通が開発した企業向け大規模言語モデルで、日本語を含む多言語対応が可能。生成AIの導入を容易にし、企業が自社でインフラを持たずにAI技術を活用できるよう支援する。