NEC、ガバメントクラウド強化へ AWSと日本初の専任サポート体制を構築

2025年4月22日、NECはアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)との戦略的連携を強化すると発表した。AWSプロフェッショナルサービスの専任サポート体制をNEC内に構築し、ガバメントクラウド(※)対応力の向上を図る。
AWS専任体制でガバメントクラウド対応力を強化、NECの行政支援体制が刷新へ
NECは長年、中央省庁や地方自治体のシステム構築・運用を支えてきた実績を持つ。クラウド移行の潮流が加速する中、同社は2020年11月にAWSと戦略的協業を結び、企業レベルでの関係を築いてきた。
今回、これまでの連携を一歩進め、ガバメントクラウドへの対応を本格化させるため、日本初となるAWSプロフェッショナルサービスの専任チームをNECに常駐させる体制が発表された。
この専任チームは、NECのパブリックビジネスユニットと連携しながら、クラウド移行戦略の策定や設計・実装支援、技術指導などを担う。これにより、行政特有の要件を理解したうえで、個別最適なクラウド活用が可能となる。
また、迅速な意思決定と実装を可能とし、導入・運用フェーズでの課題解決を支援することも狙いとされている。
今回の発表は、国内におけるクラウドシフトの進展と、政府のガバメントクラウド推進政策に呼応したものであり、NECとAWSのパートナーシップが具体的な実装段階へと移行したことを意味する。
とりわけ、セキュリティや可用性といった、行政システムに求められる高度な基準に対して、両社の技術融合による新たな対応力が注目される。
※ガバメントクラウド:日本政府が推進する、行政機関の情報システムを共通クラウド基盤に統一する構想。運用効率の向上やセキュリティ強化が目的。
顧客視点で見る協業の意義と今後の展望、クラウド移行の加速に期待
新たなサポート体制の導入は、最終的にはNECの顧客に直接的な恩恵をもたらす。
ガバメントクラウド導入時に頻出するシステム移行や設計上の技術的課題、そしてセキュリティポリシー対応といった複雑な要件に対して、AWSの知見をもとにした的確な支援が期待される。
これにより、顧客はより確実かつ効率的なクラウド移行を実現できると見込まれている。
また、今回の取り組みは、クラウドの導入障壁を下げるという意味でも象徴的である。
専任チームがNECと一体化することで、クラウドに不慣れな公共団体であっても、技術的な不安を軽減したうえで導入が可能になる。
ガバメントクラウドのモダン化という命題に対して、NECが技術面・運用面の双方から手厚く支援できる体制を整えたことは、ほかのクラウドベンダーにも影響を与える可能性がある。
今後、NECはガバメントクラウド分野でのリーダーシップをさらに強化していくと考えられる。AWSとの連携強化はその足掛かりであり、行政以外の分野への展開や、新技術の実装支援といった形での拡張も視野に入る可能性がある。
ガバメントクラウドという新たな行政基盤の在り方において、NECの動向は今後も注視される。