KDDI、豪雨時にAIドローンを活用した河川確認と避難誘導の実証実験を実施

2025年4月21日、KDDIは石川県津幡町でAIドローンを用いた豪雨災害時の河川監視と避難誘導の実証実験を実施したと発表した。
本取り組みは、能登半島地震からの復興を目指す石川県との包括連携協定に基づき、災害時の迅速な対応力強化を目的としている。
AIドローンによる遠隔操作で災害時の迅速な対応を実現
KDDIは、石川県津幡町において、豪雨災害時の河川監視と避難誘導を目的としたAIドローンの実証実験を実施した。
この取り組みは、2024年10月に締結された石川県との包括連携協定に基づき、能登半島地震からの復興を支援する一環として行われた。
実験では、ローソン津幡みずほ病院前店に設置されたドローンポートから、AIドローン「Skydio X10(※)」を遠隔操作で飛行させ、河川の増水状況を高精度カメラでリアルタイムに確認した。
さらに、ドローンに搭載されたスピーカーを通じて、避難を呼びかける音声メッセージを送信し、住民への迅速な避難誘導を実現した。
撮影された映像は、KDDIが開発中の「防災マップボード」と連携し、地図上に表示されることで、県と警察間での情報共有が効率的に行われた。
この実証実験により、災害時の初動対応の迅速化と情報共有の効率化が期待される。
※Skydio X10:米国Skydio社が開発したAI搭載の自律飛行型ドローン。高精度カメラやスピーカーを搭載し、遠隔操作による災害対応や警察活動に活用されている。
AIドローンによる災害対応力の強化と今後の展望
KDDIと石川県が連携して実施したAIドローンによる豪雨災害時の河川監視と避難誘導の実証実験は、災害対応の新たな可能性を示した。
今後、この技術はさらなる進化と社会実装が期待される。
まず、ドローンポートの全国展開が進むことで、災害発生時の迅速な対応が可能となる。
KDDIは、全国に約1000カ所のドローンポートを設置し、日常時と災害時を問わず、どこでも10分以内にAIドローンが遠隔操縦で駆けつけられる体制の構築を計画している。
これにより、災害発生時の迅速な被害状況の把握や避難誘導が可能となり、住民の安全確保に寄与することが期待される。
また、Skydio X10の技術的進化も注目される。同機は、暗所での自律飛行を可能にする「NightSense」や、4G LTEによる長距離通信機能を備えており、過酷な環境下でも安定した飛行と情報収集が可能だ。災害時の情報収集や避難誘導だけでなく、インフラ点検や警備など、さまざまな分野での活用が見込まれる。
さらに、KDDIは、Skydio社との資本業務提携を通じて、アジア太平洋地域11カ国でのSkydio製品の独占販売権を取得しており、国内外でのドローン活用の拡大が期待される。これにより、日本国内での技術革新とともに、海外市場への展開も進むだろう。
ただし、これらの技術の社会実装には、法整備や運用体制の構築、住民の理解と協力が不可欠である。
今後、官民連携を強化し、技術と制度の両面から災害対応力の向上を図ることが求められる。