地図不要の自動運転AIを手がける英Wayve、横浜に新拠点 日産と次世代技術を共同開発へ

2025年4月22日、英国のAI企業Wayve Technologiesが、日本・横浜に新たな開発拠点を設立したことを発表した。地図に依存しない自動運転技術を特徴とする同社は、日産自動車と連携し、2027年度に市販車搭載を目指した運転支援技術の共同開発を進めている。
横浜に拠点設立 AIが導く地図不要の自動運転技術
Wayve Technologiesは、人工知能を活用した自動運転システムの開発を専門とする英国発のスタートアップである。
最大の特長は、詳細な高精度地図に依存せず、カメラとAIによる自律的な学習によって走行を可能にする技術開発をしていることにある。従来の自動運転技術がインフラや事前データに大きく依存していたのに対し、Wayveのアプローチは動的な環境にも柔軟に対応できるとされる。
今回、日本国内に設けられた新たな開発拠点は、実走行による道路データの収集と学習モデルの強化を目的としている。日本特有の交通環境を実地で学ばせることで、AIの精度と実用性を高める狙いがある。
CEOのアレックス・ケンドル氏は、記者会見で「日本には素晴らしい技術があり、お互いの英知を組み合わせることで新しい自動運転ができる」と述べ、技術連携の価値を強調した。
同社は現在、日産自動車と共同で次世代運転支援技術の開発を進めており、2027年度からの市販車搭載を目指している。
この協業は日本の狭い道路や電柱の多さといった特有の課題を克服するためのものであり、日本市場を強く意識した取り組みと言える。
日産連携の先に見据える、日本市場と業界全体への波及効果
日本市場への進出において、Wayveが直面するのは、高密度な都市設計と予測困難な交通状況だ。こうした環境は、地図不要のAI自動運転にとって大きな試金石となる。
しかし、日産との協業によって、日本の道路構造やドライバー行動の傾向をAIに適応させる試みが進行中であり、実用化の見通しは一層現実味を帯びてきた。
さらにWayveは今後、日産以外の国内自動車メーカーとの提携も模索しており、その技術が業界全体へと広がる可能性もある。
これにより、他社が依存する既存の地図データインフラに対する依存度の低下や、海外展開を視野に入れた開発スピードの向上といった副次的な効果も期待される。
業界全体としては、AI主導の技術革新が交通安全の向上や都市交通の効率化に寄与すると考えられており、今後の自動運転分野における国際的な競争にも影響を及ぼす可能性がある。
Wayveの進出は、単なる技術導入を超え、日本のモビリティ戦略そのものに変革をもたらす第一歩となるかもしれない。