マスタ設定不要の革新 内田洋行ITSのAI-OCR「UC+スキャン」が日本企業の業務改革を後押し

2025年4月22日、内田洋行ITソリューションズ(日本)は、AI技術を活用した新たなOCRサービス「UC+スキャン」の提供開始を発表した。実用性と革新性を兼ね備えたソリューションとして、今後の企業活動に大きな影響を与える可能性がある。
AIが帳票の形式を問わず自動で情報を読み取る 「UC+スキャン」がもたらす革新
「UC+スキャン」は、同社が提供する業務クラウド「UC+シリーズ」の一環として公開された最新AI-OCR(※)サービスだ。
注目すべきは、マスタ設定が一切不要である点にある。
従来のOCRは帳票ごとにレイアウトや項目位置を設定する必要があったが、本サービスはAIが項目名と値の関係性を自動認識し、フォーマットの違いに左右されず情報を抽出する。この技術的進歩により、企業は多種多様な請求書・納品書などのPDF帳票を一括処理できるようになる。
さらに、同社が提供する文書管理システム「UC+ドキュメント」との連携により、取引先名、金額、発行日などの情報は自動的にデータベースへ登録される。
加えて、AI-OCR機能はWeb APIとして提供され、既存の基幹業務システムへもスムーズに組み込むことが可能である。
料金体系は従量課金制を採用し、利用枚数に応じて1ページあたりの単価が変動する設計となっている。100枚までなら30円、101〜300枚では20円、301〜1000枚の場合は15円と、使用規模に応じた柔軟な運用が可能だ。
今後の展望と導入メリット 「UC+スキャン」が切り拓く業務デジタル化の次のステージ
「UC+スキャン」が企業にもたらすメリットは明確だ。
入力作業の自動化により、業務効率が飛躍的に向上し、作業時間の短縮、ひいては人件費の削減にもつながる。ITの専門知識がなくても高精度なOCRを導入できる点も、多くの企業にとって魅力となるだろう。
今後は、さらなる機能の追加や他のUC+製品とのクロス連携によって、社内データの活用範囲がさらに広がる可能性がある。日本国内では中小企業のデジタル化が遅れている現状があるが、「UC+スキャン」はそのハードルを大きく下げ、AI技術の裾野を広げる起爆剤となるのではないだろうか。
また、クラウド連携の進化とともに、業種別に特化したAI-OCRモデルの開発が進む可能性がある。たとえば医療、物流、建設など、それぞれ独自の帳票フォーマットを用いる業界に対して、カスタマイズされたAIモデルが提供されれば、データ処理の精度はさらに向上するはずだ。
帳票の電子化とAIによる自動データ化は、今後さらに需要が高まると予測できる。企業のデジタルシフトが加速するなか、「UC+スキャン」はその流れを力強く牽引する存在となるだろう。
※AI-OCR:Artificial Intelligence Optical Character Recognitionの略で、AIを用いて文字認識を行う技術。従来のOCRと異なり、文脈理解やレイアウトの違いに強く、多様な書類に柔軟に対応可能。