ChatGPTへの礼儀が数億円のコストを生む？アルトマンCEOの見解
2025年4月17日、米OpenAIのサム・アルトマンCEOが、ChatGPTに「ありがとう」「お願いします」といった礼儀正しい言葉を添える行為が、数千万ドル規模のコストを引き起こしていると明かした。
この発言はX（旧Twitter）上のやりとりを通じて公開されたもので、生成AIの在り方を巡る新たな論点として注目を集めている。
AIへの礼儀が生む意外なコストと価値
OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、ユーザーがChatGPTに対して「ありがとう」や「お願いします」といった礼儀正しい言葉を添える行為が、同社にとって数千万ドル規模の追加コストを生じさせていると認めた。
あるユーザーが、X（旧Twitter）にて、「礼儀正しいプロンプトがOpenAIの電気代にどう影響するのか」といった主旨の投稿をしたところ、アルトマン氏は「tens of millions of dollars well spent（何千万ドルかかったが、価値ある出費だ）」と応じた。
この発言を受けて、X上では多様な反応が飛び交った。
一部のユーザーは「終末が来たときに安全を感じるためには、小さな代償だ」と冗談を飛ばしていた。
実際のところ、ChatGPTは入力されたすべての単語を処理対象とする。
礼儀正しい語句が短文であっても、それが数億回入力されれば膨大な演算資源を必要とするのは当然のことだ。特にChatGPTのような大規模言語モデル（LLM）（※）では、文字数と演算量は直結しており、ユーザー全体の行動がサーバーコストに直接跳ね返る構造にある。
※大規模言語モデル（LLM）
膨大なテキストデータを学習し、人間の言語を高度に模倣できるAIのこと。OpenAIのChatGPTもその代表例であり、計算資源や電力消費が非常に高い。
礼儀正しいAI対話の社会的影響と今後
礼儀正しい対話が単なるコスト要因であるとも限らない。
こうした言葉がプロンプトの明確化を促し、AIの応答精度を高める可能性も考えられる。
また、AIとの対話に礼儀や感謝の気持ちを込めること自体が、ユーザー体験の満足度を高め、共に考えるパートナーのように感じさせる心理的効果をもたらすこともあるだろう。
特に、教育やヘルスケアなど感情的配慮が重要な領域では、この点が特に重視される傾向にあるのではないだろうか。
現在、OpenAIは「ありがとう」や「お願いします」の使用を控えるような公式アナウンスは出していない。むしろ、ユーザーの自然な対話スタイルを重視し、自由なやりとりを促す方針を取っているようだ。
このスタンスは、コスト削減一辺倒ではなく、倫理性やユーザー中心の設計思想を反映したものであると解釈できる。
今後、AIの普及とともに、処理効率や運用コストの最適化が議論されることは避けられないだろう。しかしその一方で、礼儀や配慮といった非効率に見える要素が、人間とAIの新たな関係構築において重要な役割を果たすという認識も広がりつつある。
礼儀正しさは、単なる言葉の飾りではなく、AI時代のコミュニケーションにおける核心なのかもしれない。
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