高校のeスポーツ授業が産業ドローン人材を育成へ　第一学院がTDBCと産学連携協定

2025年4月18日、第一学院高等学校と運輸デジタルビジネス協議会（TDBC）による産学連携を締結したことが注目されている。eスポーツスキルを活用して産業ドローン操縦者を育成する教育プログラムが、高校生の新たな進路選択として脚光を浴びている。

ゲームスキルが職業スキルに直結する時代へ　eスポーツが産業界と接続する

第一学院高等学校が2025年4月18日に発表したのは、TDBC（※1）との産学連携協定に基づいたeスポーツとドローン技術を融合した教育コースの本格始動である。この取り組みは、東京都中央区の銀座キャンパスを拠点に展開され、従来のゲーム教育の枠を超え、遠隔操作技術をリアルな産業スキルへと接続する点で注目されている。

背景には、eスポーツで身につく高精度な操作能力や空間認識力が、産業用ドローンや建設機械の遠隔操作（※2）に必要とされるスキルと高い親和性を持つという認識がある。実際、ドローン業界では操縦者の不足が課題となっており、即戦力として若年層への期待が高まっている。
コースでは、ゲームの腕前を競うだけでなく、ドローン操縦に必要な機体知識や安全管理、さらには法規制などの専門知識も段階的に学ぶ構成となっている。

また、教育は技術訓練に留まらず、チームワークや自己管理能力を養うプログラムも組み込まれている。プレイ中のコミュニケーションや対戦後の振り返りなどを通じて、現場で求められる報連相の基本を実地で体得できるのが特徴だ。

※1 TDBC（運輸デジタルビジネス協議会）：運輸・物流分野におけるデジタル技術の活用を推進する業界団体。教育機関や企業との連携を通じ、次世代人材の育成を目指している。

※2 遠隔操作：物理的に離れた場所にある機器を通信技術などを利用して操作する技術。ドローンや重機など、危険作業や精密操作が求められる分野で活用が進んでいる。

キャリア支援から業界連携まで　教育現場と産業界が描く未来像

第一学院高等学校のこのコースでは、進学・就職を見据えた個別サポート体制も整備されている。教職員による進路相談のほか、企業見学や職業体験の機会も設けられ、生徒が現場の空気を肌で感じながら、自分の進路を具体化できる環境が用意されている。
このような取り組みは、若者の職業選択の幅を広げるだけでなく、産業界における人材不足の解消にも寄与する可能性がある。

一方で、このプログラムには懸念点も存在する。
eスポーツと産業ドローンの関連性が十分に理解されていない場合、学生や保護者からの支持を得るのが難しいかもしれない。特に、伝統的な教育観を持つ人々にとって、ゲームと職業スキルの結びつきは理解しづらい部分があるだろう。
また、ドローン操縦に必要な専門知識や法規制についての教育が不十分であれば、実際の業務において学生が即戦力として活躍することは難しい。技術訓練だけでなく、法的な側面や安全管理についても十分な教育が求められるため、カリキュラムの充実が必要である。

今後、eスポーツを起点とした実践的な技術教育が全国の教育機関にも波及していく可能性は高いと考えられる。特に、産業界が求めるスキルと若者の興味を結びつけることで、より多くの学生が新たなキャリアパスを見出すことが期待される。
近い将来、「ゲームが得意な若者＝即戦力人材」という認識が一般化し、eスポーツが新たな職業教育の一環として定着するかもしれない。

参照元：https://www.atpress.ne.jp/news/433757?utm_source=chatgpt.com