TOKYO MX、AIカルテ報道で誤解招く表現を謝罪 映像と記事を削除

2025年4月21日、TOKYO MXは報道番組「堀潤Live Junction」で放送したAIカルテに関する映像について、「視聴者に誤解を招きかねない表現があった」として謝罪し、関連する記事と動画を削除した。
この事案は、医療現場における生成AIの活用と個人情報保護の在り方について、改めて議論を呼んでいる。
報道内容とクリニックの反応
TOKYO MXが放送した「堀潤Live Junction」では、放送内容が患者の個人情報を生成AIに入力しているように見えたことから、波紋が広がっている。
TOKYO MXは、東京都小金井市の東小金井小児神経・脳神経内科クリニックがAIカルテを導入し、医師の業務時間を削減したと報じた。
映像では、米国の生成AI「Claude」に患者の病歴を入力している様子が映し出され、視聴者からは「患者の個人情報を直接AIに入力するのは問題ではないか」といった批判がSNS上で相次いだ。
これに対し、クリニックは公式サイトで声明を発表し、「当院では個人情報を汎用生成AIに入力することは一切していない」と明言。
取材時にはダミー患者の情報を使用したデモンストレーションを行ったと説明し、放送内容が誤解を招くものであったことに困惑していると述べた。
TOKYO MXは、クリニックとの協議の結果、問題となったWeb記事とYouTube動画を削除。
また、放送内で補足説明を行い、患者の特定情報は入力していないことを強調した。
医療AIと個人情報保護の課題と今後の展望
今回の報道は、医療現場における生成AIの活用と個人情報保護のバランスについて、改めて課題を浮き彫りにした事例である。
AI技術の導入は医療の現場に大きな変革をもたらし、診療記録の効率的な管理や診断補助などの面で多くの利点が期待されている。
しかし、その一方で、センシティブな個人情報をAIに入力することには慎重さが求められている。
特に、AIシステムが入力されたデータを自動的に学習・再利用する設定であった場合、本人の同意なしに医療情報を活用することは重大な問題となり得る。
また、メディア側も、AI技術の取材・報道に際しては、専門家の監修を受けるなど、正確性と倫理性を確保する必要がある。
特に、生成AIの特性や制限についての誤解が生じないように配慮した表現が求められる。
今後、医療現場でのAI活用が進む中で、患者の信頼を得るためには、透明性の高い運用と、法的・倫理的なガイドラインの整備が必要になってくることが予測される。
医療機関ごとにポリシーを策定し、スタッフに対する啓発や教育を行う必要もあるだろう。
また、メディア報道においても、視聴者に誤解を与えないよう、慎重な表現と正確な情報提供が一層重要になると考えられる。