AKOS AI、富士通のAIトラスト技術を基盤にEU AI規制法対応の新サービスを開始

2025年4月18日、AKOS AIは富士通のAIトラスト技術を活用し、欧州連合(EU)のAI規制法に対応する企業向け新サービスの提供開始を発表した。これは、日本発の技術が国際的なAIガバナンス強化に寄与する重要な動きである。
AIガバナンスを可視化する「AKOS HUB」、欧州AI規制対応を包括支援
AKOS AIが発表した新サービスは、富士通のAIトラスト技術(※1)を基盤に開発されたもので、企業がEUのAI規制法に準拠したAIシステムを運用するためのガバナンス支援を目的とする。「AKOS HUB」と名付けられたこのプラットフォームは、リスク管理や倫理評価など、AI導入プロセスの各段階に対応する5つの専門パッケージを提供する。
新サービスは、EUのAI規制法(※2)に対応するためのツールを提供することで、企業が必要な手続きを円滑に進められるよう支援する。
具体的には、法的義務を整理する「EU AI規制法準拠支援パッケージ」、倫理的側面を評価する「AI倫理影響評価パッケージ」、開発から運用に至るまでのリスクを一元管理する「AIリスク評価パッケージ」、モデルの偏りを検証する「AI公平性検証パッケージ」、さらには大規模言語モデル(LLM)のバイアスを評価する「LLMバイアス診断パッケージ」が含まれる。これらは全てノーコード/ローコードで実装でき、非技術職のユーザーでも扱いやすい構成となっている。
AKOS AIのCEOであるAlberto De Lazzari氏は「EU規制は企業のAI戦略において避けられない要素になりつつある。AKOS HUBは、そのハードルを下げる」と語っている。
また、富士通のAIトラスト技術責任者であるJosyula Surya氏も「透明性と信頼性はAIの社会実装に不可欠だ。技術を通じて国際基準の確立に貢献したい」と述べた。
※1 AIトラスト技術:AIの公正性、説明可能性、透明性、プライバシー、セキュリティを保証するための富士通独自の技術群。リスクを未然に察知・管理することが可能。
※2 EU AI規制法:2024年8月に施行された欧州連合の新法。AIを「禁止」「高リスク」「限定リスク」「リスクなし」に分類し、高リスク用途においては透明性やデータ品質などの厳格な基準を設けた。企業には文書化義務や人間による監督などの対応が求められる。
信頼性が競争力となる時代、AI規制対応は企業価値の新たな指標に
AKOS AIと富士通の連携は、技術の提供にとどまらず、AIの倫理的・法的利用をグローバルスタンダードとして根付かせる動きの一端を担っている。EUにおけるAI規制は、今後世界各国にも波及する可能性が高く、対応の早期化は国際市場での競争優位を確保する要素ともなりうる。
特に生成AIの活用が急速に進む中で、AIシステムのブラックボックス化やバイアスの懸念が強まっている。こうした課題に対し、同サービスが提供するパッケージは、法的義務への対応だけでなく、企業自身のレピュテーション管理やサステナビリティ戦略にも直結する。企業の透明性・公平性を示す指標として、今後の投資判断や事業提携の判断材料としても機能する可能性がある。
今後、両社はEU圏におけるパートナー拡大と共に、日本国内の企業への展開も視野に入れている。特に金融、医療、公共セクターなど、高リスクAIの活用が進む分野において、国内外の法制度に対応した信頼性の高いAI導入支援が求められる場面は増していくだろう。
AIが社会インフラとして浸透する中で、こうしたトラスト支援技術は企業の持続的成長を左右する鍵になりつつある。
参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000410.000093942.html