VanEck、デジタル資産ETF「NODE」5月にローンチへ

2025年4月17日に報道された情報によると、資産運用会社VanEck(ヴァンエック)は、暗号資産分野に特化した新たなETF「ヴァンエック・オンチェーン・エコノミーETF(NODE)」を同年5月14日にローンチする予定だ。
本ETFはSEC(米証券取引委員会)の承認を取得済みで、デジタル資産経済圏を支える企業に焦点を当てている。
暗号資産の本質を捉えた「NODE」、実体経済との接点に注目
NODEは、暗号資産の基盤技術と経済活動に直接関与する企業に焦点を当てたアクティブ運用型ETF(※1)である。
VanEckによれば、ポートフォリオには暗号資産取引所、マイナー、データセンター、半導体メーカーなど、Web3インフラの中核を担う30〜60社が組み込まれる予定だ。
さらに、最大で25%まで暗号資産ETP(上場取引型金融商品 ※2)への投資も行うとされている。
また、NODEはケイマン諸島の子会社を通じて間接的なデリバティブ取引にも対応可能で、規制環境を考慮した構造を取っている点も投資家にとっての安心材料となり得る。
この構成から見えてくるのは、仮想通貨そのものへの投機的アプローチではなく、その裏側にあるインフラ・エコシステム全体への中長期的な投資視点である。
運用手数料は0.69%と、同様の暗号資産ETFと比較しても競争力があり、費用対効果の面でも投資家の注目を集めそうだ。
VanEckのデジタル資産リサーチ責任者であるマシュー・シゲル氏は、「世界経済はすでにデジタル基盤へと移行を始めており、NODEはその変革を推進する企業への投資機会を提供する」と語っている。
広がる暗号資産ETF市場、NODEは新たな分岐点となるか
近年、暗号資産市場の成熟とともに、ETF市場も変化の局面に差し掛かっている。現物ビットコインETFの承認や、イーサリアム先物ETFの台頭など、伝統的な投資家がこの分野に関心を寄せる流れが顕著になってきた。
こうした中で登場するNODEは「インフラ経済」への投資という全く異なる切り口を提示している。投資家に対しより実体的で、かつテクノロジー主導の成長を見込んだポートフォリオ構築の選択肢を提供している点が注目される。
さらに国際的な規制調和が進めば、米国外でも同様の商品が登場し、グローバルな投資対象としての広がりを見せる可能性もある。特に、欧州やアジア市場における規制の明確化と技術導入の進展が追い風になると見られる。
ただし、投資家の期待に応えるには、NODEが単なる「テーマ型ファンド」に終わらず、実際のリターンを安定して出し続ける必要がある。仮に構成銘柄がトレンド先行型や投機性の高い企業に偏ると、中長期での信頼性が損なわれかねない。
NODEが真に「オンチェーン経済の核心を捉えた」ETFと評価されるか否かは、ローンチ後の実績と透明性にかかっている。既存のテックETF市場とは異なる独自の評価軸を持つかどうか、その動向は注目に値する。
※1 アクティブ運用型ETF:インデックスに連動せず、ファンドマネージャーが銘柄選定・売買を行うタイプのETF。市場環境に応じて柔軟な運用が可能とされる。
※2 暗号資産ETP(上場取引型金融商品):暗号資産に価格連動する金融商品で、証券取引所で売買可能。ETFやETNなどの形式があり、現物を直接保有せずに投資できる。