JTBとKIYONOが「AIレポーター」開発 観光DXを加速する生成AIサービス、4月23日提供開始

JTBとKIYONOは2025年4月16日、生成AIが自動で分析・レポートする新サービス「AIレポーター」を共同開発したと発表した。サービス開始は4月23日を予定しており、観光業界のDX促進および地域の観光事業者のデータ活用効率化を支援する。
観光業界の課題に生成AIで挑む 「AIレポーター」が示すデータドリブンな未来
「AIレポーター」は、観光業界の構造的な課題に対し、AIという最新技術を用いて解決を試みる新サービスである。
JTBは旅行業界の最大手として蓄積してきた観光データや地域連携の知見を、DX支援を得意とするKIYONOの技術力と融合させ、観光業のデータ活用を推進する。
この連携は、これまで感覚や経験に頼りがちだった観光戦略の意思決定プロセスに、定量的な裏付けを加えるものになると考えられる。
「AIレポーター」は、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を基盤とし、そこに蓄積された多種多様な観光データを生成AIが自動で分析。その結果を誰でも理解しやすいレポートにまとめて提示するという仕組みだ。
特に注目すべきは、専門知識がないユーザーにも使いやすいインターフェース設計と、常に最新データを反映する自動更新機能だろう。
活用例としては、電子チケットの使用履歴やスタンプラリーの回遊傾向をもとに、効果的な観光ルートの可視化を行うことが可能だ。
また、売上実績との比較分析によって施策の効果測定が可能になり、さらに予約データをもとにペルソナ(典型的な顧客像)を構築することで、より精緻なマーケティング戦略の立案が期待されている。
観光データの民主化へ 今後の展望と生成AIの可能性
「AIレポーター」が本格運用されることで、これまで大手企業や専門アナリストに限られていた高度なデータ活用が、地方の観光協会や中小事業者の手にも届くようになる可能性がある。
生成AIの導入によって、レポート作成にかかる時間とコストが大幅に削減され、人的リソースの少ない組織でもデータを起点とした判断が日常化することが見込まれる。
JTBとKIYONOは、今後もこのサービスの機能拡張を継続するとしている。
自治体との連携やカスタマイズ機能の追加、さらにはリアルタイムデータとの連動による施策最適化機能などが検討されるかもしれない。観光需要が変動しやすい昨今において、リアルタイムでの需要予測や訪問者行動の可視化は、地域経済への直接的なインパクトを生み出すと考えられる。
一方で、AIの分析精度やレポートの解釈に対するリテラシーの差が課題となる場面も想定される。
そうした課題に対しては、JTBとKIYONOによる導入支援や運用サポート体制が鍵を握るだろう。
生成AIが観光現場の実務に溶け込むまでには一定のプロセスが必要だが、そのポテンシャルは極めて高いと言える。
ニュースリリース:https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2025/04/16_jtb_kiyono_ai-dx.html