OpenAIがSNS開発に着手と報道 画像生成×ソーシャルを融合か

現地時間2025年4月16日、米メディアThe Vergeは、OpenAIがX(旧Twitter)に類似した独自のSNSを開発中であると報じた。
社内にはすでにプロトタイプが存在し、ChatGPTの画像生成機能と連動したソーシャルフィードが特徴とされる。
「AIが主導するSNS」誕生の兆し
The Vergeの報道によれば、OpenAIは現在、画像生成機能を中核に据えたSNSのプロトタイプを社内で運用しているという。
これまでChatGPTを通じて自然言語処理と生成AIの最前線を切り拓いてきた同社が、次の一手としてSNSという形を模索している格好だ。
この新SNSは、AIがユーザーの投稿を補完・創出し、それをソーシャルフィードとして提示するインターフェースを備える可能性がある。
CEOのサム・アルトマンは、すでに外部の識者に対してプロトタイプのフィードバックを求めており、プロジェクトは着実に進行中と見られている。
リリースの時期や形態については依然不透明であり、独立したアプリになるのか、既存のChatGPTアプリに統合されるのかは決まっていない。
ただし、ChatGPT自体が先月、世界で最もダウンロードされたアプリとなったことを考慮すれば、ユーザーベースを活かした統合の可能性も十分にあり得るだろう。
アルトマンは過去に、MetaがスタンドアロンAIアプリを出すなら、「我々もソーシャルアプリを作るかもしれない」とSNS上で示唆していた経緯がある。
マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクといった競合勢力との対抗軸として、本プロジェクトが持つ戦略的な意義は小さくない。
AI×SNSは何をもたらすか
OpenAIがSNS市場に参入する最大の利点は、リアルタイムで膨大なユーザーデータを取得できることにある。
これは、競合であるXがAIチャットボット「Grok」(※)の学習に自社コンテンツを用いている点と通底する動きだ。
Metaも同様に、Llamaモデルの訓練にユーザーデータを活用しており、AI企業によるSNS領域への進出は、モデル性能向上と市場拡大の両面で流行となりつつある。
SNSとAIの融合は、ユーザー体験の変革にもつながるだろう。
先日は、Xに生成AIであるGrok 3が統合され、ポスト内でメンションすることでGrokが返信を返すなど、ソーシャル機能との融合が図られた。
AIとソーシャルネットワークを組み合わせた、新たな体験を届けている。
OpenAIの場合、はじめからAI機能を前提とした設計も考えられ、さらなるAIとSNSの融合も期待できる。
もっとも、AI主導のSNSにはフェイクコンテンツや倫理的課題も潜在しており、その運営には高度な調整力が求められる。
OpenAIのSNS開発は「単なるサービスの追加」ではなく、テック大手の生存戦略であり、人間関係にテクノロジーがどう関係するかの大きな一例と見なすべきである。
次世代SNSが「人間中心」か「AI中心」か、そのバランスをどう取るかが、今後の議論の核心となるだろう。
※Grok:
イーロン・マスクが率いるxAIが開発した大規模言語モデルを搭載したAIチャットボット。X上に統合され、投稿支援や情報検索機能を担っている。