ファッションブランド「ANAP」が約2億円分のビットコイン投資

2025年4月16日、女性向けファッションブランド「ANAP(アナップ)」を展開するANAPホールディングスは、約2億円相当のビットコインを購入したと発表した。
投資事業を担う新設子会社による運用で、企業の成長戦略の一環と位置づけられる。
アパレル企業が暗号資産に本格参入、新設子会社が運用を担う
ANAPホールディングスは、1億9,997万5,438円を投じ、暗号資産ビットコイン16.6591BTCを取得したと公表した。
購入および運用は、同年2月3日に設立された連結子会社「ANAPライトニングキャピタル」が担う。
同社は新たな収益源としての投資事業を目的に設立されており、今回のビットコイン取得はその一環と位置づけられている。
購入した暗号資産は四半期ごとに時価評価を実施し、その損益を損益計算書に反映する方針だ。
これにより、ビットコイン市場の価格変動が決算数値に直接的な影響を与えることになる。
ANAPホールディングスは、ビットコインの将来的な価値上昇について、ETF化の進展や国家レベルでの保有拡大といった市場動向を踏まえ、合理的な投資判断と説明している。
なお、ANAPは2025年4月に持株会社体制へと移行しており、社名も「株式会社ANAPホールディングス」へ変更。
これに伴い、アパレル事業を引き継ぐ「株式会社ANAP」、投資関連の「株式会社ANAPライトニングキャピタル」、美容サロン関連の「株式会社AEL」「株式会社ARF」といった複数の事業会社を新設し、グループ経営の強化と事業の多角化を図っている。
ファッションから投資へ 企業変革の布石とビットコイン市場の可能性
ANAPによるビットコイン投資は、単なる資産運用にとどまらず、経営方針そのものの転換を象徴する動きと捉えられる。
これまで若年層女性向けのファッションに特化してきた同社が、暗号資産という異なる市場に参入した背景には、収益の多様化と中長期的な成長戦略がある。
現在のビットコイン市場は、ETF承認や国家保有の拡大、米国を中心とした制度整備などを受けて、再び上昇基調にある。
これにより、企業による暗号資産の保有や決済手段への活用が広がりを見せており、特に非金融業種による積極的な参入が目立つ。
ANAPのような消費者接点を持つ企業がこの潮流に乗ることで、ブランディングや資金戦略においても新たな可能性が開かれるだろう。
一方で、暗号資産は価格変動が大きく、短期的な損失リスクも高い。
四半期ごとの時価評価によって業績に影響を与える可能性があるため、投資としての透明性と説明責任が問われることになる。
今後は、ビットコイン市場の動向だけでなく、ANAPがどのようにこの新領域を企業価値向上へ結びつけていくかが注目される。