米インテル、中国顧客にAI半導体の輸出規制を通知 米政府の国家安全保障戦略が半導体市場に波紋

2025年4月16日、米国半導体大手インテルが中国の顧客に対し、特定のAI向け半導体の輸出には米国政府の許可が必要になると通知した。これは英フィナンシャル・タイムズが報じたものである。
国家安全保障とAI覇権 インテルが中国向け半導体に規制通知、その背景
インテルは中国の顧客に対し、AI向け先端半導体の輸出について新たな規制条件を通知した。
具体的には、DRAM帯域幅(※)が1400ギガバイト毎秒、入出力帯域幅が1100ギガバイト毎秒、または両者の合計が1700ギガバイト毎秒以上となる製品は米国政府の輸出許可が必要になる。
これは、インテルの「ガウディ」シリーズや、エヌビディアの「H20」なども通知対象となる要件だ。
この動きの背後には、米国政府の国家安全保障政策がある。
中国への先端技術流出を防ぐため、AI技術を核とした半導体輸出管理が強化されているのだ。
AIは軍事や経済の両面で戦略的価値が高く、米中間の技術覇権争いの最前線とも言える領域となっている。インテルは規制に応じる形で通知を行ったが、米政府の方針を受けたものと見られ、同業他社も足並みを揃えつつある。
実際、エヌビディアも規制対応の費用として約55億ドルを計上する方針を明らかにしており、今後さらに業界全体へ影響が広がる可能性が高い。
※帯域幅(Bandwidth):半導体や通信機器が一定時間内にデータを転送できる容量を指す。数値が高いほど処理速度やデータ通信量が大きくなる。
技術封鎖の加速と半導体市場の行方 企業戦略と規制強化の余波
今回の輸出規制は、中国市場に依存する企業にとって深刻なリスク要因となりうる。
とりわけAI用途の高性能半導体は、クラウド事業者やインターネット企業を中心に中国内で需要が急増しており、販売比率の高い企業ほど規制の影響を受けやすい。
インテルやエヌビディアは、米政府の規制に応じながら、代替市場の開拓や製品設計の見直しを余儀なくされるだろう。
今後もこの動きが継続する可能性は高いだろう。
米国政府は中国へのAI関連技術の流出を封じるため、輸出規制の条件を段階的に厳格化していくと考えられる。
一方で、企業側は規制の範囲を回避する製品設計や、他国市場への販路拡大など、新たなビジネス戦略を模索することになるだろう。
米中間のテクノロジー摩擦が続く限り、半導体業界は不確実性の高い環境下で経営判断を迫られ続けることが予想される。
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