AWSジャパン、国内150社が参画した「生成AI実用化推進プログラム」の成果と次なる展開を公表

2025年4月16日、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社(AWSジャパン)は、企業や組織における生成AIの開発や活用を支援する日本独自のサポートプログラム「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」について、2024年度の成果と2025年のプログラムを発表した。
生成AIの実装を支えるAWSジャパンの戦略 その成果と進化
「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」は、国内企業の生成AI導入を支援するために2024年度からスタートした。
2024年度は、大規模言語モデル(LLM)の構築を支援する「モデル開発者コース」と、既存のLLMを活用する企業を対象とする「モデル利用者コース」の二本柱で構成されていた。
実際の導入事例も多岐にわたる。
たとえば、野村総合研究所は保険営業時のコンプライアンスチェックに対応するLLMを開発した。国土交通省は行政文書をデータ化するプロジェクト「LINKS Veda」に生成AIを組み込み、官民連携の一端を担っている。
また、NTTデータはクリエイティブ業務を支援するAIエージェントを構築し、フリー株式会社は損益計算書(PL)の自動解説機能「AIクイック解説」を発表した。旅行業のHISは商品販売条件書をAIで要約する仕組みを整備し、業務のスピードと精度の両面で変革が見られた。
2025年度からは「モデルカスタマイズコース」「モデル活用コース」に加え、「戦略プランニングコース」を新たに設けた計3コースで募集する。
企業の成熟度や課題に応じた柔軟なサポート体制を目指している点が特徴で、各コースにおいてコストの最大半額をカバーする「AWSサービスクレジット」の提供も計画している。
生成AIの実用化と企業導入の展望
今回の発表は、単なるPoC(概念実証)にとどまらず、業務への実装段階に突入していることを示すものだ。AWSジャパンが技術提供のみならず、戦略立案や人材育成まで含めた総合的支援を提供している点が、成功要因として浮かび上がる。
今後の展望としては、業種・規模を問わず企業が自社業務に最適な形で生成AIを組み込むケースが増加していくと考えられる。
AWSジャパンがハブとなり、技術や知見の共有を推進していくことで、日本企業のAI利活用の質はさらに向上していくことになるだろう。
また、戦略プランニングコースの新設によって、生成AIを中長期的な経営課題と結びつける動きが加速することが予測される。
業種ごとの課題に特化したAI戦略が構築されることで、単なるツールとしてではなく、企業成長を支える基盤として生成AIが位置づけられていくのではないか。
生成AIの実用化支援はすでに実績を伴うフェーズに突入している。
ただし、その先にある「社会実装」や「価値創出」には、より一層の制度設計と人材育成が不可欠であり、AWSジャパンの今後の動きが日本全体のAI競争力を左右すると言っても過言ではない。