グーグル、2024年の不正広告対策で51億件を削除 生成AIが詐欺検知に活躍

2025年4月16日、米グーグルは「Ads Safety Report 2024」を公開し、生成AIで51億件以上の不正広告をブロックまたは削除したことを明らかにした。
日本でも2億件以上が削除され、生成AIの活用がその背景にあるとされる。
生成AIを活用し、51億件超の不正広告を排除
グーグルが発表した2024年の「Ads Safety Report」によると、過去1年間で51億件以上の不正広告をブロックまたは削除した。
さらに、91億件以上の広告に制限を加え、3920万件を超える広告アカウントを停止している。
これらのアカウントのうち、半数以上は広告掲載前に検出・停止されており、未然の対応が強化されていることがうかがえる。
日本国内でも2億350万件の不正広告が削除され、停止された広告アカウントは140万件に上り、国内外での監視体制が強化されていることがわかる。
注目すべきは、グーグルが不正広告対策に生成AIを活用している点だ。
AIを活用することで、悪質な広告コンテンツの97%を検出することに成功し、従来の検出作業では見逃されがちだった新たな脅威や悪用パターンの特定も可能となっている。
広告の安全性を統括するロドリゲス氏は、「広告の安全性は、Web上の健全なエコシステムを支える上で非常に重要である」と述べた。
無料でアクセス可能なコンテンツの裏側には、信頼できる広告基盤の存在が不可欠であり、生成AIはその信頼性の確保に大きく寄与しているという。
広告主の本人確認強化とディープフェイク対策
グーグルは2024年、不正広告への対策を技術と制度の両面から強化している。
本人確認プロセスの導入により、現在では配信される広告の90%以上が、認証済み広告主によるものとなっている。
この認証は、広告主が支払いを行っている国に基づいて実施され、信頼性の高い広告環境の実現につながっている。
また、著名人のなりすまし広告が急増したことを受けて、100人以上の専門家による詐欺広告の分析が行われた。
これは、SNSなどを中心に拡散される詐欺事例への対応として注目されている。
加えて、DeepMindと連携し、ディープフェイクによる動画広告の検出技術も開発中だ。
視覚情報を精査し、合成された不正映像を識別する技術であり、フェイクコンテンツの拡散防止に資する見通しである。
一方で、生成AIを不正検出の中心に据えることにはリスクもある。
AIが誤検出を起こす可能性、特に無害な広告が誤って削除された場合、正当な広告主にとっては大きな損失となりかねない。
アルゴリズムによる判断がブラックボックス化しやすいという問題も依然として残っており、説明責任の担保は今後の課題だ。
こうした一連の取り組みは、インターネット広告に対する信頼回復を目的とするものであり、マーケターにとっても持続可能な広告戦略の土台となり得る。
今後は広告の透明性と信頼性が、新たな広告効果を左右する要素になると考えられる。