米エヌビディア、AI半導体「H20」に輸出規制　業界に波紋

2025年4月15日、米半導体大手エヌビディアがAI向け半導体「H20」の輸出に米政府の許可が必要となったと発表した。規制強化がグローバルAI市場に与える影響が注目されている。

米政府の規制強化がエヌビディアに直撃

米国の半導体大手エヌビディアが発表した内容によると、同社の最新AI向け半導体「H20」に対し、輸出に政府の許可が必要となるとの通知を米当局から受けたという。

エヌビディアは1993年に設立され、GPU（※）分野のリーディングカンパニーとして知られてきた。近年ではAIや機械学習向けのハードウェア分野で急成長しており、特にデータセンター、自動運転、ロボティクスなどで同社のチップは高い評価を得ている。

H20は、同社がAI処理に特化して開発した最新型の半導体であり、大規模AIモデルの学習や推論において高い処理性能を誇る。今回の規制対象となったことで、H20を含む高度なAIチップの一部が中国を中心とした特定市場で展開しにくくなる懸念がある。

※GPU（Graphics Processing Unit）：画像処理用に開発された半導体だが、現在は並列処理性能を活かし、AI処理にも広く使われている。

本規制がAI市場の成長に及ぼす影響を考察

今回の輸出許可制限は、エヌビディアのみならず、AI・半導体業界全体に影響を与える可能性がある。
特に、中国市場は高性能AIチップの需要が高く、現地企業はH20のようなチップを活用して生成AIや自動運転、金融アルゴリズムなどを開発してきた。こうした流通の制限は、現地プレイヤーの開発スピードにも直結するだろう。

一方で、米国内外の他の半導体企業にとっては、相対的な競争優位を獲得するチャンスともなり得る。規制を受けにくい中堅メーカーが、より柔軟に市場に応じた製品展開を図る可能性も否定できない。

今後、AI半導体の国際競争は「性能」だけでなく「規制対応力」にも左右されることが明確になってきた。技術力に加えて、地政学的リスクへの柔軟な対応が、企業価値を左右する鍵になるだろう。