万博の次は奈良へ 奈良県がAIを活用した観光プラン提案サービス「ならいこ」を発表

2025年4月15日、開催中の大阪・関西万博にて、奈良県が観光促進のための新サービス「ならいこ」を案内するブースを設けた。「ならいこ」はAIを活用し利用者ごとの旅行プランを自動生成する観光ツールであり、外国人観光客への対応も視野に入れている。
万博を追い風に、AIが奈良観光を変える 個人最適化時代の「旅支援」
「ならいこ」は観光業界におけるAI活用の新たなアプローチとして注目を集めている。
このサービスは2025年に開催される大阪・関西万博の来場者をターゲットに設計され、万博を契機とした地域誘客戦略の中核を担うものだ。
「ならいこ」では、サイト上で訪れたい場所や生年、性別、興味のあるテーマ、旅行日程などを入力するだけで、AIが最適な旅行プランを提案する。
提案は動画とともに表示されるため、視覚的な訴求力も高い。
日帰りから一泊まで短期間で効率的に奈良を巡るプランが中心であり、観光地の選定だけでなく移動ルートや所要時間にも配慮されている点が評価されている。
「ならいこ」は2024年12月に公開され、わずか数カ月で約3万件のアクセスを記録している。英語版の提供も開始されており、海外旅行者からの利用も拡大中である。
ウェブベースのサービスであるため、スマートフォンやPCから誰でもアクセス可能という利便性も手伝って利用者層は国内外問わず広がっている。
加えて、奈良県では観光施設を定額で巡ることができる「大阪・奈良 楽遊パス」の案内も行っており、パンフレットやチラシは多言語対応で整備されている。
観光体験を通して奈良の魅力を効果的に伝える工夫が随所に見られる。
ブース設置とデジタル戦略 「ならいこ」が描く奈良観光の未来
万博会場に設けられる奈良県のブースは、まさに「ならいこ」の実演ステージとなっている。来場者は実際にこのサービスを体験でき、その直感的な操作性と精度の高いプラン提案に触れることで奈良への関心を高める仕組みだ。
県の観光戦略課によれば「まず奈良を知ってもらうこと」が主眼であり、万博後の実来訪につなげる導線を意識した構成となっている。
訪日外国人にとって土地勘のない場所を効率よく回れる提案型サービスは歓迎される傾向が強く、今後の展開次第では他県への展開やモデルケース化も視野に入る可能性もあるだろう。
マーケティング視点から見れば、「ならいこ」は観光のパーソナライズ化(※)という時代潮流に即したツールであると考えられる。
従来の観光パンフレットでは成し得なかった個人レベルの動機に即した提案が可能であり、情報過多な現代において旅の意思決定を加速させる手段になり得る。
奈良という古都の魅力を、テクノロジーによって次の世代へ橋渡しする「ならいこ」は、その象徴として位置付けられるだろう。
※パーソナライズ化:個々のユーザーに合わせて情報やサービスを最適化する手法。近年ではマーケティングや観光分野において注目されており、顧客体験の質を高める要因として重要視されている。