ミラッソ、教員向けAI活用研修を実施 生成AIで教育現場の業務効率化へ

ミラッソ株式会社は2025年4月15日、東京都台東区の岩倉高等学校にて、教員向けAI活用研修「Teaching Partner Program」を2025年3月14日に実施したと発表した。日本国内の教育現場における業務効率化を目的としたこの研修には、同校の教職員約30名が参加した。
生成AIを授業に 教育現場で加速する実践的導入と意識の変化
ミラッソが行った研修は、単なるAIの基礎知識にとどまらず、実際の教育現場での応用を重視した実践的内容で構成されていた。
冒頭のセッションでは、AIが社会に与える影響、そして教育における役割の変化が示され、教員たちにとってAIが「遠い未来」ではなく「目の前の課題」であることが明確になった。
研修の中核を成したのは、生成AIの活用方法に関する具体的なレクチャーとワークショップである。注意点やリスクへの理解を促す一方で、実務に直結する活用シーンが提示された。
教員たちは、学校のホームページ文面の改善、レポートの採点補助、小テストの作成など、AIを組み込むことで業務効率化が図れるタスクを体験した。
参加者からは、「自分の指示と、手本の指示で出力される結果に大きな違いがあることに気付かされた」という声が上がった。指示の質がアウトプットに与える影響を実感し、今後の活用に向けた課題とヒントが得られたようだ。
研修後のアンケートによると、参加者の77.8%が「とても満足」と回答し、22.2%が「やや満足」と答えている。
注目すべきは、研修前に「AIを活用するイメージが湧いていた」と答えた教員が18.5%にとどまっていたのに対し、研修後にはその数値が51.9%まで上昇したことだ。
数字は、研修が単なる啓発に終わらず、現場での実装に向けた明確なイメージを提供した証拠と言える。
教育ポリシーと連動するAI導入の未来 ミラッソが描く次の一手
研修の開催校である岩倉高等学校は、「開かれた学校」を教育理念に掲げ、2023年6月には「対話型人工知能(AI)利用ポリシー」を発信している。AI活用に対する方針が明確に示されていることから、今回の研修もその延長線上に位置づけられている。
このような教育現場の動きを支援すべく、ミラッソは2024年11月から「Teaching Partner Program」の提供をしている。対象は小学校から大学、専門学校、学習塾にまで及び、導入先ごとにカリキュラムを柔軟にカスタマイズできる点が特徴である。
生成AIの導入がトップダウンで進むのではなく、各教育機関の文脈に合わせて調整されることで、実効性の高い施策となる見込みだ。
今後、教育現場でのAI活用は「業務の省力化」にとどまらず、「教育の質の向上」にまで波及していく可能性がある。特に、反復作業やルーティン業務の自動化によって、教員が本来注力すべき「生徒との対話」に時間を振り向けられる環境が整えば、その効果は計り知れない。
AIと人間の協働による新たな教育モデルの確立が、次のフェーズに入ろうとしている。