サイボウズ、「kintone AIラボ」を開設 検索・アプリ作成AIで業務効率化を加速

2025年4月15日、サイボウズはノーコード・ローコードツール「kintone」において、新たなAI実験環境「kintone AIラボ」の提供を順次開始した。
ユーザーは開発中のAI機能を無償で試すことができ、業務効率化に直結する機能として注目できる。
検索とアプリ作成をAIが支援、実用性を重視した新機能が試験提供へ
サイボウズが提供する「kintone AIラボ」は、ユーザーが開発中のAI機能を体験し、そのフィードバックを反映させる形で改良を重ねる実験的なプラットフォームである。
2024年に公開された「検索AI(kintone AIアシスタントより名称変更)」と、検索支援と新たにできたアプリ作成支援の2機能が搭載されており、いずれも無償で利用可能だ。
検索支援では、従来「kintone AIアシスタント」として提供されていた機能が改良され、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術によって精度の高い情報検索が可能となった。
kintone内の大量データから目的の情報を迅速に抽出できることが特長で、業務上の意思決定や対応スピードの向上に寄与すると考えられる。
一方のアプリ作成支援では、ユーザーが作りたいアプリの概要を入力すると、AIが要件を理解するための質問を返し、その内容に基づき適切なフィールドを設計、アプリを簡単に生成することができる。
複雑な業務フローの簡素化や、社内のITリテラシーにばらつきがある環境での活用が想定されており、汎用性の高さも魅力となっている。
kintone AIラボは、スタンダードコースおよびワイドコースの契約ユーザー、アカデミック・ガバメントライセンスやチーム応援ライセンスの保有者が無償で利用できる。
※RAG(Retrieval-Augmented Generation):生成AIの一種で、外部データベースからの情報検索と自然言語生成を組み合わせた手法。
AI活用領域の拡大を見据えた戦略 ユーザー起点の改善で高精度化を図る
「kintone AIラボ」は、今後の企業DX(デジタルトランスフォーメーション)推進における重要な試金石となる可能性を秘めている。
特に、ユーザーからのフィードバックを反映しながら改良されていく形式は、実務への適応力を高め、結果として汎用性の高いAIツールへと進化していくだろう。
一方で、こうした進化には継続的なフィードバックの蓄積が欠かせない。
サイボウズがAIラボの門戸を広く開いているのは、幅広い業種や職種から知見を集め、汎用性と精度の両立を目指すためだと捉えられる。
将来的には、AIによる「自動化」にとどまらず、「提案型」の支援へと進化することが期待される。
たとえば、ユーザーの操作履歴や社内の業務フローを解析し、最適なアプリ構成や改善案を能動的に提示するような機能も視野に入ってくるだろう。
こうした展開が進めば、単なる業務支援ツールを超えて、企業の意思決定を支える戦略的なインフラへと昇華していく可能性もあるだろう。