米教育長官がAIを「A1」(エーワン)と誤読 AI発展のスピードと社会の理解にギャップか

2025年4月8日、米カリフォルニア州で開催された教育会合において、マクマホン教育長官が人工知能(AI)を「A1(エーワン)」と繰り返し誤読したことが明らかになった。
教育分野におけるAI理解の遅れが露呈した事例として注目を集めている。
「A1」発言が示す、教育政策とAI活用の乖離
サンディエゴで開催された教育イノベーション会合にて、米教育長官リンダ・マクマホン氏が、人工知能(AI)を「A1(エーワン)」と何度も呼び間違えたことが報道された。
最初こそ正しくAIと発言したものの、「小学校1年生がA1を使った授業を受けられる」など、誤称を繰り返した。
この出来事は単なる言い間違いにとどまらない。
教育政策の中心人物が、AIに関する基本的な認識を持たないまま公の場で語ったことは、教育現場への技術導入の遅れや、政策決定層との知識ギャップを象徴していると受け止められている。
マクマホン氏は元WWEのCEOであり、トランプ政権下では中小企業局長を務めた経歴を持つ。ビジネス畑での成功を背景に教育行政に登用されたが、AIや教育テクノロジー分野の専門性については不透明である。
そのため、今回の発言も、教育現場で実際に求められるAIの理解や応用から乖離していると見られている。
AIは学習進度の可視化や個別最適化(※)といった面で高いポテンシャルを持ち、すでに多くのEdTech(※)企業が導入を進めている。だが今回のような発言は、政策面でのサポート不足や誤解が、現場の導入に影を落としかねないことを示している。
※個別最適化:AIを活用し、生徒一人ひとりの学習スタイルや進捗に合わせて教材や課題を調整する教育手法。
※EdTech:Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IT技術を教育に応用する分野を指す。
今後求められる政策の方向性
今回の件は、教育現場におけるAI導入の課題を可視化する契機にもなり得るだろう。
AIを活用した教育プラットフォームや自動フィードバックツールの普及は進行中だが、それらを政策的に支援する側の理解が追いついていない現状がある。
教員や保護者、生徒がAIに対して正確な知識を持てるよう、教育行政側もテクノロジーの基礎を学ぶ必要がある。
今後の展望として、教育長官を含む政策決定者がAIやEdTechについて継続的なリテラシー向上を図る体制が不可欠だ。また、教育の現場からのフィードバックを政策に反映する双方向の仕組みも求められる。
今回のような誤発言が単なる話題として終わるのではなく、政策改善のきっかけとして機能するかどうかが重要なのではないだろうか。