MicrosoftとSpace Compass、観測衛星×AIで船舶をリアルタイム監視

2025年4月14日、Space CompassとMicrosoftは、観測衛星上でAIを活用し、船舶をリアルタイムで検出・分析する技術の実証に成功したと発表した。
この取り組みは、データ容量を98%以上削減し、海洋監視や災害対応の即時性を飛躍的に高める可能性を秘めている。
衛星上でのAI処理がもたらすリアルタイム監視とデータ効率化の革新
Space CompassとMicrosoftは、NTTとMicrosoftの2019年からの戦略的提携の一環として、観測衛星上でAIを用いた船舶検出技術の共同開発を進めてきた。このプロジェクトでは、Azure Orbital Space SDK(※)を活用し、Pythonで開発されたAIアプリケーションを衛星に搭載。
3ヶ月間で40回以上の実証実験を行い、船舶情報の抽出と不要データの削除によって、地上へのデータ転送量を98.1%削減することに成功した。
この技術は、衛星が撮影した画像をリアルタイムで処理し、船舶の位置情報を特定する。
従来、観測衛星から地上へ送信されるデータは膨大で、処理に時間とコストがかかっていた。
しかし、AIによるオンボード処理により、必要なデータのみを選別して送信することが可能となり、通信帯域の効率化と迅速な情報提供が実現する。
さらに、この技術は、安全保障や自然災害対策など、さまざまな社会課題の解決に寄与することが期待されている。
特に、国境を越えた海洋安全保障や、自然災害時の被害状況の把握において重要な役割を果たすと考えられる。
※Azure Orbital Space SDK
Microsoftが提供する、衛星上で動作するAIアプリケーションを開発・展開するためのソフトウェア開発キット。衛星内でのリアルタイムデータ処理を可能にし、地上との通信効率を向上させる。
ビジネスへの影響と宇宙エッジコンピューティングの今後の展望
今後、Space Compassは光中継衛星を用いたエッジコンピューティング機能の実現を目指している。これにより、高速かつ大容量のデータリレーサービスが提供され、地上のクラウド基盤とシームレスに連携し、リアルタイムでのデータ活用が可能になる見通しだ。
この技術革新は、Web3やAIなど最先端技術を活用するビジネスにおいて、新たな価値創出の機会を提供するだろう。
たとえば、海洋資源の管理、物流の最適化、災害時の迅速な対応など、多岐にわたる分野での応用が期待される。また、宇宙エッジコンピューティングの普及により、衛星データのリアルタイム分析が可能となり、ビジネスの意思決定プロセスが大きく変革される可能性がある。
このように、Space CompassとMicrosoftの取り組みは、宇宙と地上をつなぐ新たなインフラの構築を進め、未来のビジネス環境に大きな影響を与えることが予想される。
今後の展開にも注目が集まるだろう。