アルファベットとエヌビディア、AI新興SSIに出資か 企業価値320億ドルの新企業に注目集まる

2025年4月11日、米ロイターはアルファベットとエヌビディアが人工知能(AI)の新興企業セーフ・スーパーインテリジェンス(SSI)に出資したと、ロイターが関係者からの情報として報道した。
SSIは創業間もないが評価額は既に320億ドルに達し、AI業界の注目を一身に集めている。
アルファベットとエヌビディアが注目するSSI
今回の出資の背景には、SSI共同創業者イリヤ・サツキバー氏の存在がある。
サツキバー氏はかつて、ChatGPTで有名なAI企業、OpenAIの科学責任者を務め、業界内でも技術予測に優れていると評価されてきた。
そのサツキバー氏が立ち上げたSSIは、創業数カ月でAI研究の最前線に躍り出ている。
最近行われた資金調達ラウンドでは企業価値が320億ドルと推定され、その主導役にはベンチャーキャピタルのグリーンオークスがついているという。
さらに、アルファベットは自社製の演算処理装置TPU(※)をSSIに提供する契約を結んでおり、この技術供与がSSIの研究開発を一層加速するとのことだ。
エヌビディアの具体的な出資条件については明らかにされていないが、両社ともこの新興企業の先進的な技術を評価しているのは確かだろう。
※TPU:Tensor Processing Unitの略称。AI処理に特化したアルファベット(Google)が自社開発した高性能半導体チップの一種。
AI業界の今後の競争激化の可能性
SSIへの出資が明らかになったことで、AI市場における競争は一層激しくなる可能性がある。
アルファベットとエヌビディアという両巨頭がSSIを後押しすることにより、この新興企業は競合他社に対して強力なアドバンテージを得ることになるだろう。
ただし、今回報じられた情報については、アルファベット、エヌビディア、SSIの各社ともコメントを拒否しており、詳細な戦略や具体的条件に関しては依然として不透明な部分が多い。
SSIが両社の支援を受けて短期間に技術的な成果を挙げることができれば、競合企業もまた巨大資本の傘下に入ることを選ぶようになる可能性がある。
一方で、業界の寡占化が進み、いくつかの有力企業が市場の主導権を握る展開になることは、リスクであると見ることもできる。
安全で制御可能なスーパーインテリジェンスというテーマがますます注目を集めることで、倫理的問題や技術標準の確立が業界全体の喫緊の課題となる展開もあり得るだろう。
技術的競争だけでなく倫理的・社会的な議論も並行して進む必要性が今後さらに高まるだろう。