アマゾンのアンディ・ジャシーCEO、株主書簡でAIへの積極的な投資を表明

2025年4月10日、米国アマゾン・ドット・コムのCEO、アンディー・ジャシー氏は株主への年次書簡で、人工知能(AI)開発に数十億ドル規模の投資が必要であると強調した。
同氏は、競争力を維持し、顧客中心の使命を果たすために、AI向け半導体やデータセンターへの多額の資本投入が不可欠であると述べている。
アマゾンのAI戦略と具体的な投資内容
ジャシー氏は、生成AIツールの重要性を強調し、特にチャットボットや音声アシスタント「アレクサ」の再構築に注力している。
同社は、AIスタートアップのアンスロピックに対し、約80億ドルの投資を行い、その技術を「アレクサ+」に統合している。
アレクサ+は、生成AIを活用した次世代の音声アシスタントであり、より自然な対話や高度なタスク処理が可能となる。
さらに、アマゾンはAI向けの専用チップ「Trainium」を開発し、AIモデルのトレーニングと推論のコスト削減を図っている。
ジャシー氏は、現在の高額なAIチップのコストがイノベーションを妨げていると指摘し、同社の取り組みがAIの普及とコスト削減に寄与すると述べている。
AI分野での競争は激化しており、グーグルの親会社であるアルファベットは2025年に750億ドルのAI関連投資を計画している。
マイクロソフトも同様に、AI対応のデータセンター構築に約800億ドルを投じる予定だ。
これらの動きは、AI技術の進化と市場での優位性確立を目指すものであり、アマゾンもこの流れに沿って積極的な投資を行っている。
今後の展望
アマゾンの数十億ドル規模のAI投資計画には、同社の戦略的転換点を示している。
特に、生成AIと音声アシスタント「アレクサ+」の強化に注力しており、これらの取り組みが今後の市場競争において重要な役割を果たすと考えられる。
アレクサ+の進化により、ユーザーとの対話がより自然で直感的なものとなり、スマートホームやパーソナルアシスタント市場での競争力が強化されると考えられる。
また、アンスロピックとの連携を通じて、生成AIの活用範囲が広がり、ショッピングやエンターテインメント、ヘルスケアなど多岐にわたる分野での新サービスが期待される。
一方で、AIチップ市場における競争も激化しており、アマゾンのTrainiumチップがNVIDIAなどの既存プレイヤーにどの程度対抗できるかが注目される。コスト削減と性能向上のバランスを取ることが、今後の成功の鍵となるだろう。
さらに、データセンターの拡張や電力供給の確保といったインフラ面での課題も存在する。
総じて、アマゾンのAI投資は、同社のビジネスモデルを再定義し、テクノロジー業界全体に新たな競争の波をもたらすと予想される。