Google、AI駆使した統合セキュリティ基盤「Google Unified Security」を発表

現地時間2025年4月9日、米国で開催された「Google Cloud Next 2025」において、GoogleはAIを活用した統合セキュリティ基盤「Google Unified Security」を発表した。
増大するサイバーリスクに対応する包括的な防衛策として注目されている。
Google Unified SecurityによるAIセキュリティ
サイバーセキュリティの現場では今、複雑化するインフラと攻撃の多様化により、防衛側の対応が限界を迎えつつある。
Googleが発表した「Google Unified Security」は、こうした課題に一石を投じる新たなプラットフォームだ。
ネットワーク、クラウド、アプリケーション、エンドポイントにまたがる脅威に対し、一元的な可視化とレスポンスを提供することで、従来の分断されたツール群の問題を解消しようとしている。
中核をなすのはGoogleの生成AI「Gemini」によるセキュリティエージェントだ。
自律的に働くエージェントがマルウェア分析やアラートトリアージを自動化し、膨大なアラートの処理に時間を割かれてきたセキュリティ担当者の業務を軽減する。
Geminiによるエージェントは2025年第2四半期にプレビュー提供が開始される見通しである。
加えて、Security Command Centerと連携し、クラウドベースでのリスク管理を強化する。
Chrome EnterpriseのブラウザデータやGoogle Security Operationsの脅威分析といった既存サービスとの融合により、よりリアルタイムな脅威検知を可能にしている。
また、セキュリティ専門企業のMandiantのノウハウを統合した新サービス「Mandiant Threat Defense」では、専門家による脅威評価と即時対応の支援も提供される予定だ。
今後の導入メリットと想定される影響
Google Unified Securityは、これまで各部門が個別に運用していたツールの統合を進め、情報共有と意思決定の迅速化を可能にするポテンシャルを持つ。
加えて、AIエージェントの活用により、脅威対応の初動スピードが格段に向上する見通しだ。
セキュリティ人材の不足が叫ばれる中、自動化による省力化の意義は大きい。
ただ、企業はGoogleによる過度な集中管理によるリスクも頭に入れておく必要がある。
複数のセキュリティ領域を一企業が支配する構造は、利便性と引き換えに、システム障害や誤検知の影響範囲が極めて広範になるリスクをはらんでいる。
企業にとっては、単独ツールの寄せ集めでは太刀打ちできなくなりつつある現代の脅威に対し、プラットフォーム型の統合防衛が新たな標準となる可能性もある。
今後、各社がどのようにこの基盤を導入・運用し、実効性を検証していくのか、注目が集まる。