日本旅行とJAXA発スタートアップが提携 宇宙をテーマに探究学習プログラムを提供開始

2025年4月8日、日本の大手旅行会社・日本旅行と、宇宙開発スタートアップであるJAXA認定ベンチャーのStarry Canvasが業務提携を発表した。
両社は宇宙を題材にした探究学習プログラムを共同で開発し、同日から提供を開始している。日本国内の学生向けに、次世代の科学人材育成を見据えた実践型教育が始動した。
宇宙×教育が開く新たな学びの扉 企業連携が生む実践型プログラムの全貌
今回の提携の背景には、教育現場で求められる「探究学習」のニーズと、宇宙開発に対する社会的関心の高まりがある。
日本旅行は2020年に宇宙事業専門部署を設置し、地域活性や教育支援の一環として宇宙体験を取り入れた「ミライ塾」を提供してきた。
一方、Starry Canvasは2024年にJAXA認定ベンチャーとして始動し、宇宙開発に関する深い専門知識と現場経験を教育に転用することで注目されている。
両社が共同開発した探究学習プログラムは、全6回のカリキュラムで構成されており、学校ごとのニーズに応じた柔軟な設計が可能だ。「人工衛星の利活用」や「月面開拓」といった題材を用いて、参加者にビジネス視点や国際的な交渉力を養わせる構成となっている。
このプログラムは、文部科学省の学習指導要領に準拠しており、学校教育に組み込みやすい点も評価されている。
宇宙教育が次世代を動かす鍵に 民間主導の学びがもたらす波及効果と展望
今回の連携が持つ意義は、単なる学習プログラムの提供にとどまらないだろう。
企業主導での教育コンテンツ開発は、これまで行政主導が中心だった教育分野に新たな風を吹き込むと思われる。
特に、宇宙という最先端テーマを題材にすることで、学生の関心を高め、STEM(科学・技術・工学・数学)分野への進路選択を促す可能性がある。
また、将来的に宇宙産業が国内外で成長することが確実視されるなか、こうした早期教育の取り組みは、国全体の人材戦略にも直結するだろう。
本プログラムを通じて育成される「考える力を持つ学生」は、宇宙に限らずAIやWeb3といった他の先端分野にも波及効果を与えると考えられる。
今後は、地域展開や企業とのさらなる連携が進み、より多くの教育機関にプログラムが導入される見込みだ。
今回の提携は、宇宙教育という未知の分野を「現実の学び」へと引き寄せる一歩といえる。