香港、年内にもステーブルコイン規制を法制化へ グローバル金融ハブが描く次の一手とは

2025年4月7日、香港の財務長官ポール・チャン(Paul Chan)氏が、年内にもステーブルコインに関する規制を法制化する方針を明らかにした。
アジアの金融ハブである香港が、本格的にデジタル資産の法整備に乗り出すことで、国際的な暗号資産政策に与える影響が注目されている。
金融の信頼性を確保するための動き ステーブルコイン規制の目的と背景
香港の財務長官ポール・チャン氏は、香港で開催されたWeb3フェスティバルにて、年内にステーブルコインに関する規制を行うと発言した。
金融サービス・財務局および香港金融管理局(HKMA)が協力しており、この規制に関するライセンスは年内を目指している。
チャン氏は規制に対して、イノベーションを推進する姿勢だと協調したという。
これは、仮想通貨市場の拡大とともに進む金融システムへのリスクを抑制し、信頼性を高める狙いがある。
さらに、政府はカストディアンサービスのライセンス制度や、暗号資産(仮想通貨)の店頭取引サービスに関わる協議も行う予定だ。
今回の動きは、国際的な規制強化の潮流にも呼応している。
米国や欧州連合(EU)ではすでに、ステーブルコインを含む暗号資産の規制が急速に進展しており、香港も遅れを取るわけにはいかないという判断があったとみられる。
特に、1米ドルにペッグしたステーブルコインの流通が増加している中で、価格の安定性や透明性、裏付け資産の安全性が問われる場面が多くなっている。
次なるWeb3拠点へ 香港が挑むグローバルスタンダードとの整合性
香港の規制動向は、今後アジア地域における暗号資産のルールメイクに一定の影響を及ぼすとみられる。
現在、シンガポールや日本といった近隣の国々でも、ステーブルコインを含む暗号資産の管理強化が進められており、香港がこの分野で先行することは、政策競争の一環と位置づけられる。
とくに注目すべきは、今回の規制がライセンス制度にとどまらず、カストディ業務やOTC取引サービスにも対象を広げている点だ。
これは、単なる通貨の安定性管理にとどまらず、インフラ全体の信頼性向上を目指す広範な枠組みを志向していることを意味する。
今後、法制化が実現した場合、香港はアジアのみならずグローバルなWeb3拠点としての存在感を一段と高めるだろう。
ただし、法整備の実行力と運用の柔軟性が問われる局面も増えるはずだ。
国際的な規制基準との整合性を保ちつつ、ローカルな金融環境に即した調整が求められる。
規制が機能すれば、資本流入とテクノロジーの集積が進むが、逆に締め付けすぎれば、海外の有力プレイヤーが拠点を移すリスクもある。
ゆえに、法制化の「質」が今後の香港の競争力を左右する重要な鍵になると考えられる。