四季報AIと融合、わずか2分で初期DDを完了 メタリアルがM&Aの常識を覆すAIサービスを提供開始

2025年3月17日に日本国内でメタリアルが提供開始した最新のAIサービス、「Metarealデューデリジェンス(Metareal DD)」が話題を呼んでいる。
M&A業務における初期デューデリジェンス(※1)をわずか約2分で完了させるもので、従来の常識を覆すスピードと正確性を実現している。
「カップラーメンより早いDD」の衝撃 AIエージェントが企業分析を2分で完了
Metareal DDは、高性能な大規模言語モデル(LLM※2)と複数のAIエージェントが連携して稼働する。対象は主にM&Aや投資銀行業務に従事するプロフェッショナルだ。
本サービスにより、100を超えるデータポイントの即時分析と、約50枚分に相当する多角的な企業レポートのリアルタイム生成が可能となった。従来、初期DDに数週間〜数カ月かかっていたプロセスが数分に短縮されたことは、業務の根本的な効率化を意味する。
特筆すべきは、東洋経済新報社と共同開発した「四季報AI」との連携である。
信頼性の高い日本企業の定量・定性データを瞬時に反映できる点で、他社製品と一線を画す。
これにより、情報の鮮度と精度が飛躍的に向上し、リサーチに費やしていた時間や人的リソースを他の戦略領域に再配分できるようになる。
料金は月額5万円と比較的リーズナブルな設定であり、ブラウザベースの操作性によって、スマートフォンやタブレットからもアクセス可能だ。
同年4月7日に東京都内で開催された体験会では、CTO米倉豪志氏が登壇した。
同氏は「人間が行うと数週間から数カ月かかる作業には開始にエネルギーを使う。その第1歩を担わせることによって、人間の作業を早める狙いがある」と述べている。
AIによる自動分析がもたらすインパクトと今後の展望
Metareal DDの登場は、M&Aや投資分析業務の現場に大きな変化をもたらすと見られている。特に、意思決定のスピードが重視される今日において、初期段階の分析精度と処理時間の短縮は、ビジネスの勝敗を分ける要因となりうる。
Metarealは業界内の有識者やM&Aプレイヤーとの連携を強化しつつ、より高度な判断支援機能の開発を進めていくという。現時点では初期DDの迅速化が最大の強みとされているが、今後はAIによるリスク評価機能の搭載や、業界標準の策定にも取り組む予定だ。
特にAIによるリスク検出の自動化は、従来のヒューマンエラーや見落としリスクを大幅に削減する効果が期待される。さらに、AIが単なる「補助ツール」にとどまらず、戦略的意思決定における「共創パートナー」としての役割を担う可能性もあるだろう。
日本国内では情報精度への信頼が高く、かつ属人的な商慣習が根強い領域でもある。Metareal DDをはじめとするAIソリューションの普及は、業界全体の透明性や再現性を高める一助となるだろう。
※1 デューデリジェンス(Due Diligence):買収や投資などの意思決定を行う前に、対象企業の財務・法務・事業内容を詳細に調査・分析するプロセス。リスクの洗い出しや価値評価のために重要な手続きとされる。
※2 LLM(Large Language Model):大規模言語モデルの略。膨大なテキストデータを学習し、人間のような自然な言語理解と生成を行うAIモデル。