Cloudflare、AIエージェント開発を加速させる新製品群を発表　コスト削減と構築効率化を同時に実現

2025年4月7日、米国のCloudflare社はAIエージェントの開発支援を目的とした新製品群を発表した。開発者がより低コストかつ高速にAIエージェントを構築・展開できる環境を整える内容であり、今後のAI市場に大きな影響を及ぼす可能性がある。

クラウド基盤でAI開発を加速　Cloudflareが提示する新たな選択肢

Cloudflareは、リモートモデルコンテキストプロトコル（MCP）サーバー、Durable Objects（※）の無料化、Cloudflare Workflowsの提供、AI推論の従量課金制度という4つの新機能を発表した。これらはすべて、AIエージェントの迅速な構築と運用コストの大幅な削減を目的として設計されている。

中でも注目されるのは、MCPサーバーの導入である。
Cloudflareのグローバルネットワークを活用し、AIエージェントはローカルサーバーを持たずに安全にインターネットと接続可能になる。これにより、開発環境の構築負担が軽減されるとともに、外部サービスとの連携も円滑に行えるようになる。

Durable Objectsが無料で提供されるようになった点も、開発者にとって大きな利点だ。
これまでコスト障壁となっていたリアルタイムなデータ処理とパーソナライズ機能の構築が、より広範なユーザーにとって実現可能になる。

加えて、Cloudflare WorkflowsによってマルチステップのAIアプリケーション開発が自動化されるため、複雑なロジック構築が必要なシナリオでも効率よく対応できるようになる。
さらに、AI推論における従量課金モデルの導入は、リソース使用に応じた柔軟な料金体系を提供し、特にスモールスタートを志向する開発者にとって導入のハードルを下げる結果となる。

既存のAWSやGoogle Cloudなどと異なり、Cloudflareはエッジコンピューティング（※）の強みを活かして、より近接したリアルタイム処理を可能とする点でも差別化が図られている。

※Durable Objects：Cloudflareの提供するサーバーレスな状態管理機能。分散環境でも状態を保持し、アプリケーションの一貫性を担保するための技術。

※エッジコンピューティング：ユーザーの近くに配置されたサーバーでデータ処理を行う方式。クラウドよりも処理速度や応答性に優れるため、リアルタイム処理が求められるAIやIoTの領域で注目されている。

AI市場への波及とCloudflareの次なる一手

今回の発表は、AIエージェント開発の敷居を大きく下げる動きになるだろう。
生成AIを含む会話型インターフェースや、ユーザー行動に応じた応答設計を必要とするプロダクトを開発中の企業群、特に、Web3関連の開発者や、初期投資を抑えたいスタートアップにとっては、従来のクラウドプロバイダーに比べて高い柔軟性とコスト効率を持つ選択肢となるはずだ。
インフラコストがイノベーションの妨げとなることも多いため、従量課金や無料提供の仕組みは、市場拡大の推進力となると考えられる。

今後は、AIとネットワークインフラの融合が進むことで、より高速かつ低遅延なインテリジェントアプリケーションの実現が期待される。
Cloudflareの動向は、生成AI時代の開発基盤選びにおいて、重要な指標の一つとなるだろう。