IVRyが新機能「音声認識Q&A」を発表 電話応対の自動化にAIを活用

2025年4月2日、株式会社IVRy(日本)は自社が提供する音声AI SaaS「IVRy」に新機能「音声認識Q&A」を追加したと発表した。通話内容をAIが分析し新たなQ&Aを自動生成・推薦するこの機能は、企業の電話応対業務を大幅に効率化する可能性を秘めている。
音声AIとLLMが連携 通話内容から実用的なQ&Aを自動生成
IVRyは電話業務の効率化に特化したSaaS型音声AIサービスであり、すでに自動応答、予約代行、録音、文字起こし、AI要約、SMS送信、顧客管理(CRM)などの機能を備えている。
新たに追加された「音声認識Q&A」は通話データをAIが解析し、問い合わせの傾向に基づいたQ&Aを自動生成・推薦する点が最大の特長だ。
従来のQ&Aは人力で蓄積し更新する必要があったが、この機能は社外からの問い合わせ電話の内容をもとにAIが自律的に情報を抽出し、質問と回答をセットで生成する仕組みとなっている。
これにより、対応漏れの軽減や回答の精度向上が期待できるだけでなく、顧客対応の属人化も防げる。AIが事前に設定されたキーワードを音声から認識し、必要に応じて担当部署へ取り次ぐフローにも対応。音声通話を起点とした自動応答からCRM連携まで一貫した顧客体験が提供される。
この背景にはLLM(大規模言語モデル)と音声認識技術の融合がある。
IVRyでは通話データをもとに問い合わせ内容を自動でカテゴライズし、最適なQ&Aを構築するアルゴリズムを導入している。これにより、既存のテンプレートに頼らない、実際の問い合わせ内容を基にした動的な情報生成が可能になっている。
人手不足やカスハラ対策の切り札に AIによる業務最適化の未来
日本国内の多くの中小企業が直面しているのは、慢性的な人手不足と顧客対応における心理的・時間的負担だ。
特に電話応対業務は属人的でありながら頻度が高く、カスタマーハラスメント(カスハラ)といったリスクも存在する。こうした課題に対して、IVRyの音声AIは業務負担の軽減と対応品質の標準化を同時に実現するソリューションとなるだろう。
「音声認識Q&A」は単なるFAQの延長ではない。
音声という非構造データをAIがリアルタイムに構造化することで、それをもとに組織ごとのナレッジとして再活用できることが最大の利点だ。これにより企業は、問い合わせ対応にかかる時間を削減しつつ、顧客満足度の向上を狙えるだろう。
将来的には、IVRyの技術が店舗運営やBPO(業務委託)など他領域にも広がる可能性がある。AIの活用範囲を電話応対にとどめず従業員の感情分析や応対履歴のパターン学習へと進化させることで、より包括的な業務支援ツールへと進化していく見通しだ。