保険の迷いをAIが整理、FPが仕上げる ハイブリッド型相談サービス「マネークリア」が注目される理由

2025年3月30日に国内で本格展開が始まった「マネークリア」は、AIとファイナンシャルプランナー(FP)を組み合わせた新しい保険相談サービスだ。
保険に対する疑問や不安をAIが整理し、必要に応じてFPが対応する仕組みで、共働き世帯や子育て世帯を中心に展開される見込みだ。
“手軽で納得感ある保険選び”をAIが提案
「保険は見直したいが、何が正解かわからない」こうした課題に応える形で「マネークリア」は誕生した。
背景には、保険に対する心理的ハードルと、従来の相談スタイルに対する時代のギャップがある。多くの人がFPへの対面相談に躊躇する中、「マネークリア」はまずAI診断という低ハードルな入口を用意した。利用者はスマートフォンやPCから24時間いつでもアクセスでき、自身の保険に関する疑問や不明点をAIが整理してくれる。
このAI診断を起点に、より詳細なアドバイスが必要と判断された場合のみFPとの予約相談へと進む構成となっている。
FP相談(※)は中立的な立場で行われ、35社以上の保険商品を比較した上で、利用者のライフスタイルに最適なプランが提示される。AIによる事前整理があることで、FPとの対話も効率的に進めることができる。
こうしたプロセスにより、「自分にとって必要な保障は何か」を自分のペースで理解しやすくなる。
とくに時間に制約のある子育て世帯や共働き世帯にとっては、AIによる予備診断と予約制のFP相談という柔軟な導線が大きな魅力となっている。
※ファイナンシャルプランナー(FP)とは:家計、保険、資産運用、住宅ローン、老後資金など、個人や家庭のマネープラン全般について助言・提案を行う専門資格を持つアドバイザー。
AIが変える保険選びの常識と、業界の展望
「マネークリア」が提供するハイブリッド型相談サービスは、従来の保険販売とは一線を画すアプローチであり、今後の保険業界の標準になり得る可能性がある。
これまで、保険は「営業員からの提案を受ける」「店舗でFPに相談する」といった“受け身”の姿勢が前提とされていた。しかし、本サービスはその構造を逆転させ、利用者自身が能動的に情報を整理し、比較し、納得して選べるよう設計されていることはメリットだろう。
保険の複雑性を解きほぐし、必要な部分を人の手で補完する形式は、保険に限らず他の金融分野でも展開可能だろう。
また、今後AIの自然言語処理技術(※)がさらに高度化すれば、FPとの連携もよりスムーズになると思われる。
すでに一部の機能では、ユーザーの入力内容をもとにAIが適切な質問や相談内容を予測し、FPとの面談を効率化する仕組みも導入されている。こうした進化は、忙しい現代人の生活スタイルにフィットした新たな「相談体験」を提示していると言えるだろう。
※自然言語処理(NLP)とは:人間の言語をコンピューターに理解・解釈・生成させるためのAI技術。チャットボットや音声アシスタントなどに広く応用されている。