トランプ大統領、相互関税を発動 ビットコインは1%安に

2025年4月2日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで「相互関税」の発動を正式に発表した。特に外国製自動車に対し25%の関税が課され、中国やEUなど特定の国々にはさらに高い税率が適用される。
これを受け、金融市場は即座に反応し、ビットコインは1%下落し、約86,000ドルまで後退した。
新関税政策の詳細と市場の動向
トランプ大統領の「相互関税」(※)発動は、米国の貿易赤字削減を目的としたものであり、特に自動車産業への影響が大きい。
すべての外国製自動車には25%の関税が課されるが、中国製の輸入品には34%、EU製品には20%と、国別に異なる税率が適用される。これにより、米国の製造業が活性化するとされる一方で、輸入依存の業界ではコスト増加が懸念されている。
暗号資産市場も、この発表に敏感に反応した。
ビットコインは1%下落し、86,000ドルとなった。暗号資産市場において、トランプ政権の保護主義的政策が及ぼす影響は未知数だが、短期的な市場の不安定性を示していると言える。
※相互関税:他国が米国製品に課す関税と同等の税率を米国も適用する貿易政策のこと。トランプ政権が以前から推進してきた保護主義的な政策の一環である。
関税政策がもたらす暗号資産市場への影響と展望
トランプ大統領の「相互関税」発動は、暗号資産市場にとって一長一短の影響をもたらすと考えられる。
メリットとして考えられるのは、経済不安の高まりがビットコインの需要を押し上げる可能性だ。
歴史的に見ても、貿易戦争や地政学的リスクが高まる局面では、法定通貨に対する不信感から暗号資産への資金流入が増加する傾向にある。
今回の関税政策が長期化し、伝統的な金融市場のボラティリティが上昇すれば、ビットコインが「デジタル・ゴールド」として再評価される展開も十分考えられる。
一方、デメリットとしては、リスク回避の動きが短期的な売り圧力となる点が挙げられる。実際にビットコインは1%下落しており、市場はこの発表をネガティブな要因と捉えたようだ。
加えて、貿易摩擦が激化すれば、米ドルの動向が不透明になり、暗号資産市場全体の流動性に影響を与える恐れもある。特に、投機的な資金が流出しやすい局面では、一時的な価格調整が生じる可能性が高いだろう。
長期的に考えると、米国の政策動向がカギを握るだろう。
仮に「相互関税」が世界経済に広範な影響を及ぼし、ドル覇権の揺らぎが意識されるようになれば、ビットコインのような非中央集権的資産の価値が見直される展開も考えられる。
総じて、今回の関税発動は短期的なボラティリティの要因となるが、長期的にはビットコインの「安全資産」としての位置付けを強める契機となる可能性もある。
今後の市場の反応や政策の展開にも注視する必要があるだろう。