ヨンデミー、文京区と連携し公教育に進出 学童を対象に読書教育の実証実験を開始

2025年3月31日、子ども向けオンライン学習サービス「ヨンデミー」を運営する株式会社Yondemyが、東京都文京区の「文京共創フィールドプロジェクトB+(ビータス)」に採択されたと発表した。
これにより、同サービスが全国で初めて公教育に導入される事例となる。
デジタル教育の推進を支える文京区との実証実験
Yondemyは、オンライン読書教育サービス「ヨンデミー」を提供する企業で、子どもたちが自発的に本を読む力を育てる支援を続けてきた。
今回の採択により、Yondemyは文京区内の育成室(学童施設)において、子どもたちの読書習慣の構築を目指した実証実験を開始するという。
ヨンデミーは、AIが子ども一人ひとりに最適な本を提案し、楽しみながら読書習慣を育てることができるサービスだ。ゲーム感覚で使えるアプリや、AIキャラクターによるサポートを取り入れ、自然と本に親しめるよう工夫されており、現在は小学生を中心に月額制で提供されている。
これまで民間サービスにとどまっていた同社の取り組みが、公教育の場に取り入れられるのは今回が初めてであり、教育の選択肢を広げる意味でも大きいだろう。
今回の取り組みは、Yondemyが文京区の「文京共創フィールドプロジェクトB+(※)」に採択されたことを受けて実現したものだ。
文京区児童青少年課の髙橋準弥氏は、「ヨンデミーの導入により、児童が楽しみながら読書習慣を身に付けることを期待するとともに、児童が自発的な読書習慣を通じて、主体性を育み、学び続ける力が身に付くことを期待している」とコメントしている。
※「文京共創フィールドプロジェクトB+(ビータス)」:東京都文京区が主導する行政×民間連携による地域課題解決型の実証支援プロジェクト。教育、福祉、防災など多分野において提案を募り、実験を通じて社会実装を目指す。
AIとともに進む教育 自由な学びは守られるか
Yondemyの代表取締役・笹沼颯太氏は、「公教育の場で読書教育を届けることは当初からの悲願」と語り、「6期目を迎える来年度に『日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける』というミッションの実現に向けた大きな一歩を進められることをうれしく思う」と述べている。
ヨンデミーが公教育の現場に参入する今回の試みは、読書という非デジタルな営みにAIやデータ解析の技術を組み合わせ、子ども一人ひとりに合った学びのスタイルを提供しようとするもので、公教育における新たなアプローチとして注目されている。
まず文京区内の学童施設を対象とした実証実験として始まるが、その結果次第では、他の自治体や学校にも広がっていくと考えられる。
子ども自身の読書傾向を可視化し、それに基づいた支援が有効だと確認されれば、公教育における読書指導のあり方にも影響を与えるかもしれない。
一方で、読書は本来、自由な発想や自発的な関心に基づいて行われるものであり、公教育における場で、AIによる推薦やデータによる最適化が過度になると、子どもの内面的な好奇心を狭める可能性も否定できないだろう。
今後、公教育におけるAI活用がどこまで進むのか、その動向にも注目が集まりそうだ。