ソフトバンクG、オープンAIに最大5.98兆円を追加出資 AI戦略の強化へ

2025年4月1日、ソフトバンクグループ(SBG)は、米国の人工知能(AI)企業オープンAIに対し、最大400億米ドル(約5兆9808億円)の追加出資を行うことで合意したと発表した。SBGはオープンAIとの提携を強化し、AI分野における影響力を拡大する狙いがある。
この投資により、SBGの資産価値(NAV)向上と、AIインフラ事業の発展が期待される。
SBGのAI戦略とオープンAIへの投資の背景
ソフトバンクグループは近年、AI分野への積極的な投資を進めている。
2024年以降、同社の投資ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンド2を通じて、オープンAIに対して合計22億ドルを出資した。
今回の追加投資は、SBGのAI戦略の一環であり、人工汎用知能(AGI)(※)や人工超知能(ASI)の実現を見据えたものであると考えられる。
SBGはAIの発展が長期的な企業価値の向上に寄与すると判断し、オープンAIとの関係を強化してきた。また、オープンAIと米オラクルと共同でAIインフラ構築を目指す合弁事業「スターゲート」も展開中であり、このプロジェクトを通じてSBGのAI市場での地位を確立する狙いがある。
※人工汎用知能(AGI):人間のように幅広い知識を持ち、汎用的な課題を解決できるAI技術。現時点では実現されていないが、今後のAI研究の主要な目標とされる。
今回の出資による市場への影響と展望
SBGの今回の追加出資は、AI戦略の大きな転換点になると見られる。
特に、オープンAIとの関係強化を通じて、AIインフラ事業の拡大が加速する可能性が高い。スターゲートのような大規模プロジェクトが進展すれば、AIの処理能力向上とデータセンター事業の拡大が見込まれ、SBGの事業ポートフォリオに新たな収益源をもたらすだろう。
一方で、AI市場全体の動向には注視する必要があるだろう。
規制強化の動きが世界各国で進んでおり、AIの倫理問題やデータプライバシーの課題が投資のリスク要因として浮上している。特に、欧州連合(EU)や米国政府がAI規制の枠組みを強化する方針を示しており、オープンAIの事業展開に影響を与える可能性は十分にある。
総じて、SBGのオープンAIへの追加出資は、AI市場の未来を大きく左右する動きの一つだと言える。
短期的には技術革新と市場拡大のメリットが見込まれるが、長期的には技術開発の進展や競争環境、規制動向が重要なカギを握ることになるだろう。