熊本市発、AIでお見合い相手を提案 婚活支援「Kumarry」がマッチングサービス本格始動

2025年3月31日、熊本市の婚活支援センター「Kumarry(クマリー)」は、AIを活用したマッチングサービスの提供を開始した。少子化が深刻化する中、自治体が先導する結婚支援策として注目を集めている。
AIが相性を分析、会員ごとに最適なマッチングを提案
熊本市が運営する婚活サポートセンター「Kumarry」は、2025年1月に設立された。同市と周辺12市町村が連携して開設したもので、結婚を希望する独身者に対し、出会いの機会を提供することを目的としている。
サービスへの登録会員数が455人(3月30日時点)に達し、マッチングできる環境が整ったため、3月31日よりサービスを開始した。
31日正午時点の会員数:459人(女性203人・男性256人)であり、中心は30代だが、50代や70代の利用者も確認されており、今後は会員数2,500人の達成を目指しているという。
専用のサイトでは、会員の顔や趣味、ライフスタイルなどが閲覧可能となっており、データをもとにAIが相性の良い相手を判断する。
スマートフォンやパソコンから簡単にアクセス可能で、自宅にいながらでも婚活を進めることができるとされる。
今後の展望
熊本市のように自治体主導でAI婚活を推進する取り組みは、今後全国に波及する可能性がある。特に、地方都市では若年層の流出や高齢化が深刻化しており、結婚支援を地域活性化の柱と位置づける動きが加速するだろう。
その中で、AIによるマッチングは「数多くの出会いを用意する手段」から「精度の高い縁をつなぐ手段」へと進化していくと考えられる。
ただし、成功の鍵を握るのはAIの精度だけではない。ユーザーが安心して情報を提供できるようなセキュリティ体制や、マッチング後の対面フォローなど人間的なサポートの充実が不可欠だ。自治体がどこまでプライバシー保護と人間らしい接点を両立できるかが、今後の成否を左右するだろう。
また、利用者層が広がることで、年齢や文化的背景の多様性にも対応する柔軟な設計が求められる。
結果として、AI婚活は単なるマッチングの手段にとどまらず、孤立の防止や地域の持続性にも貢献する可能性を秘めている。
しかしその実現には、技術と人間性のバランスを丁寧に取り続ける姿勢が必要である。