Oasys、IP保護強化に向けアニメチェーンと提携 「ジブリ風」AI画像が話題の中、AI時代の著作権リスクに対抗

2025年3月29日、日本発のブロックチェーンプロジェクトOasys(オアシス)が、アニメチェーンと提携し、AI時代の知的財産(IP)保護を目的とした取り組みを開始すると発表した。
AI技術の急速な進展に伴い増加する著作権侵害や不正利用への対策として、制作工程のデジタル化とIP保護機構の強化を進める。これによりアニメ文化の健全な成長とクリエイターの権利保護が期待されている。
AIの進化がもたらす新たな著作権課題に対応 提携の背景とOasysの狙い
Oasysがアニメチェーンとの提携に踏み切った背景には、AI技術の著しい進化とそれに伴うIP管理の課題がある。
近年生成AIを活用したコンテンツが増加し、従来の著作権法だけでは保護が難しい事例が顕在化している。最近でも、ChatGPTの画像生成による「ジブリ風」AI画像がSNS上で話題を集める一方で、著作権についての懸念が広がっている。
こうした状況の中でOasysは、ブロックチェーンの分散型技術を活用することで、IPの透明な管理と著作権の証明を可能にする仕組みの構築を目指している。
この提携において中核をなすのが、アニメ制作におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進である。データの可視化と共有を通じて制作工程を効率化し、結果としてコストの削減と制作スピードの向上を実現する。
また、作品の権利情報をブロックチェーン上で記録することで、不正な利用や盗用を未然に防ぐ手段となる。
クリエイターにとって、自身の創作物が適切に保護されることは創作活動を継続する上で不可欠であり、本提携はそのための環境整備に向けた重要な一歩だと言える。
今後の展望
今後、AIと著作権の関係性は法制度と技術の両面から再設計が求められる局面に入る。特にアニメやゲームといったIP依存度の高い産業では、「AIによって生成されたもの」が合法か否か、あるいは誰に帰属するかといった議論が避けられない。
Oasysとアニメチェーンの協業によって進められる実証実験は、まず日本のIPホルダーにとっての安心材料となるだろう。仮にブロックチェーン技術が実効性を持って証明されれば、将来的には国際的なスタンダードの一部として組み込まれる可能性もある。
ただし、IP保護とAIの発展とのバランスをどこに置くかは依然として課題であり、性急な規制強化が創作活動全体の萎縮を招くリスクもある。
今後は、AI生成物の透明性向上、権利者への収益分配、利用制限の明確化などが多層的に整備されていくと予想される。
また、AIの学習元データに対しても「利用許諾型」の新たなライセンスモデルが普及していくかもしれない。
AIはもはや止まることのない潮流であり、著作権制度もまた、それに追いつくかたちで進化せざるを得ない。その意味で、今回のOasysの動きは、国内IP業界がこの変化に主体的に向き合おうとしている兆しと言える。