ChatGPTが「MCP」に対応へ Anthropic発の接続規格がAI開発の標準に

米OpenAIは2025年3月27日、ChatGPTのデスクトップアプリ版およびAPIを、米Anthropic提唱の「Model Context Protocol(MCP)」に対応させる方針を発表した。
AI開発における外部ツールとの連携を共通化する動きが進むことで、開発者や企業の利便性向上が期待されている。
AI開発を取り巻く「接続性」の課題を解決するMCP
AIと外部ツールの連携は、長らく開発現場における課題のひとつだった。従来、各AIアプリケーションは外部サービスごとに個別の接続やインターフェースを構築する必要があり、コストや工数が肥大化していた。
こうした課題に対し、米Anthropicは共通接続規格としてMCP(※)を2024年に提唱。まるで「AIアプリケーション向けのUSB-Cポート」であるかのように、共通のインターフェースを通じた接続が可能になる点が注目されてきた。
MCPの導入により、開発者はSlackやGoogle Drive、GitHub、Notionなど、すでにMCP対応を済ませた主要ツールと容易に接続できるようになる。
さらに、ChatGPTも今回の発表を受け、デスクトップアプリとAPIを通じてMCP対応を正式に進める。これにより、ChatGPTを基盤にしたAIサービスやソフトウェアは、標準化された接続方式を採用することで、開発の効率化や拡張性の向上が見込まれる。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは「人々はMCPを愛しており、当社もサポートできることをうれしく思う」と自身のXアカウントにてコメントしており、業界内でもMCPが今後のAI開発の標準規格となる可能性が高まっていると言える。
※MCP(Model Context Protocol):Anthropicが提唱した、AIモデルと外部ツール・サービスを標準化された方法で接続するための共通規格。これにより、開発者は個別対応をせずに統一されたインターフェースで接続が可能となる。
業界全体に広がるMCP対応の波と今後の展望
MCPは、すでに複数の有力企業が導入を進めており、Microsoftをはじめとする大手IT企業が前向きに取り組んでいる。
AIを活用した業務効率化や生産性向上が求められる中で、MCPのような共通規格の重要性はますます高まっている。特に生成AIと業務システムの連携において、APIや外部サービスとの統合は不可欠であり、MCPはその課題を大幅に緩和する可能性を秘めている。
開発者にとっては、アプリケーション開発が加速するだけでなく、保守・運用の負担軽減や外部サービスの柔軟な追加・更新が容易になる点も見逃せない。
さらに、今後は他のAIプラットフォームでもMCP採用の動きが広がると予測され、業界全体で共通インフラとしての定着が進むだろう。
OpenAIの今回の発表は、単なる機能追加にとどまらず、AI開発の「接続性」を巡る新たな基準を世界に示した出来事である。
今後、開発者のみならず、AIを業務やプロダクトに組み込む企業にとっても、MCPが欠かせない存在になっていくと考えられる。