YouTube、ショート動画の視聴回数カウントを変更 「再生された瞬間1視聴」のTikTok方式に

米Google傘下のYouTubeは3月26日(現地時間)、ショート動画の視聴回数カウント方法を3月31日から変更すると発表した。
新方式では、最低視聴時間の要件なしに、動画が再生またはリプレイされた瞬間に1回の視聴としてカウントされる。
視聴カウント方式の変更とその背景
これまでYouTubeのショート動画は、一定の秒数以上視聴された場合にのみ視聴回数がカウントされていたが、「視聴頻度を把握したい」という要望を受け、カウント方法を変更することにしたという。
変更の背景には、他のショート動画プラットフォームとの競争がある。
特に「TikTok」やInstagramの「リール」は、動画が再生された瞬間に視聴としてカウントする方式を採用しており、YouTubeはこれに追随する形となった。
近年ショート動画市場の拡大に伴い、視聴回数の計測基準の統一が求められている現状がある。
YouTube側は、この変更がクリエイターにとって有益であり、コンテンツの評価を適切に行うためのステップであると説明している。
従来のカウントもYouTubeアナリティクスの「詳細」で確認できるとのことだ。
また、今回の変更は収益やYouTubeパートナープログラムの資格取得方法に直接影響せず、従来通りエンゲージメントの高い視聴回数にもとづいて算出される。
今後の展望
今回の方式変更のメリットとしては、視聴回数の即時カウントにより、視聴実態の可視化が進む点が挙げられる。特に、リプレイやスクロール途中の短時間再生も数値化されるため、ユーザーの接触頻度を迅速かつ網羅的に把握できるようになる。
また、TikTokやInstagramリールと同様の方式を採用することで、他プラットフォームとの比較がしやすくなり、マーケティング分析の精度向上にもつながる可能性がある。
さらに、動画投稿直後の視聴動向が即座に反映されることから、クリエイター側のモチベーション維持にも寄与するだろう。
この変更は、単なる仕様変更にとどまらず、ショート動画市場全体における視聴指標の再定義という大きな流れの一部と捉えられる。
視聴の「質」よりも「頻度」が重視される傾向は今後さらに強まる可能性があり、特に広告主やプラットフォーム側にとっては、ユーザーの接触回数が新たな価値指標となっていくのではないだろうか。
とはいえ、YouTube側が従来の視聴指標もアナリティクス上で保持する方針を明らかにしていることから、今後は「総視聴回数」と「実質的視聴時間」など複数の指標を併用するスタイルが一般化していくと考えられる。
つまり、単なるカウント数だけでなく、エンゲージメントの質を多角的に評価する時代へと移行しつつある。
競争の激化するショート動画市場において、この視聴回数の再定義は、プラットフォームとクリエイターの関係性を再構築する起点となるかもしれない。