ラクスルとAdobe Expressが機能連携、デザインから印刷までのプロセス効率化を実現

2025年3月25日、印刷や集客を支援する日本のラクスル株式会社はアドビ株式会社と連携し、Adobe Expressを活用した新機能を発表した。これにより、名刺やチラシのデザインから印刷までがワンストップで完結し、特に中小企業における印刷用データ制作の手間が大きく軽減される見通しである。
ラクスルとAdobe、印刷業務の壁を下げる機能統合を開始
ラクスルはオンライン印刷サービスを展開する企業として、中小企業向けの業務支援に注力してきた。
一方のアドビは、デザイン領域におけるグローバルリーダーとして知られており、両社の協業はそれぞれの強みを組み合わせた形となる。
今回の連携では、ラクスルの印刷プラットフォーム上でAdobe Expressを直接起動し、デザインを作成できる。作成したデザインはそのままラクスルに入稿でき、別アプリケーションへの切り替えやデータ形式の変換といった煩雑な作業は不要になるとのこと。
これにより、業務効率が大きく向上し、印刷物の制作から納品までの時間短縮も期待されている。
Adobe Expressにはブランド管理機能や豊富なテンプレートがある。
具体的には、統一感のある名刺を作成したり、チラシやポスターのデザインをSNS用画像やWebバナー向けにカスタマイズして、クロスメディア展開を簡単に行える。
また、商用利用が可能な生成AI「Adobe Firefly」が搭載されており、背景の削除や不要なオブジェクトの除去、オブジェクトの追加、テキストエフェクトの作成といった画像編集を手軽に行える。
さらに「画像を生成」機能を使えば、生成したいイメージをプロンプト(指示文)として入力したり、スタイルや構図の参考として画像を指定したりすることで、オリジナリティのあるビジュアルを作成できる。
中小企業の課題解決へ、印刷領域の新たな入口に
中小企業にとって、印刷用データの制作は長らくハードルの高い作業だった。専門的な知識が求められるうえ、デザインソフトの操作には時間もコストもかかる。
このような課題に対し、今回の機能連携はシンプルな操作性と工程の一体化によって、課題の根本を突くものとなる。特に名刺のような頻繁に更新が必要な印刷物においては、自社でスピーディーに対応できることが大きな強みになるはずだ。
もっとも、今後の展開には技術的な整備だけでなく、ユーザーへの啓発やサポート体制の充実も欠かせないだろう。簡便性を打ち出すだけでなく、誰にとっても使いやすく、失敗しにくい環境をどう提供していくかが、普及の鍵を握ると見られる。
さらなるユーザー層の取り込みに向けては、業種ごとのニーズを踏まえたテンプレートや導入事例の提示なども重要になってくるだろう。
しかし、日常的な販促活動を社内で完結しやすくなれば、外注コストやコミュニケーションのロスも抑えられ、中小企業にとっては大きな魅力となるだろう。今後の展望に期待したい。