山崎貴監督「フルCGへの挑戦は怖かった」「ゴジラ-1.0」がAMDアワード大賞に

2025年3月25日、東京都内で開催されたAMDアワード(※)において、山崎貴監督の映画「ゴジラ-1.0」が大賞を受賞した。
本作はフルCGによる映像表現に挑戦し、国内外で高い評価を得た作品である。
山崎監督は「着ぐるみ文化からの脱却には不安があった」と語りつつも、若手クリエイターたちの努力が結実したことを喜んでいる。
ゴジラ-1.0、フルCGの挑戦が評価される
AMDアワードは、一般社団法人デジタルメディア協会(AMD)が主催し、デジタルコンテンツの質的向上とクリエイターの育成を目的とした賞である。2025年の授賞式は3月25日に東京都内で開催され、「ゴジラ-1.0」が大賞に輝いた。
「ゴジラ-1.0」は、2023年に公開されたゴジラ映画であり、これまでの着ぐるみ特撮の伝統を離れ、フルCGを全面的に採用した作品だ。
アカデミー賞の視覚効果賞も受賞しており、日本国内の興行収入は75.6億円、世界全体では170億円を超える成功を収めている。
山崎貴監督は授賞式で「フルCGへの挑戦は怖かった」と率直な思いを語った。長年続いてきた着ぐるみ文化からの転換に対し、不安を抱えながらも決断したという。
しかし、若手クリエイターたちの技術と情熱がこの作品を支え、世界的な評価へとつながった。
今回の受賞は、デジタル技術を駆使した新たな映像表現が、伝統を超えて認められたことを示している。
他の受賞作品とデジタル技術活用の展望
授賞式では「ゴジラ-1.0」以外にも、優れたデジタルコンテンツが評価された。
特に、Netflixシリーズ「地面師たち」はAMD理事長賞を受賞した。この作品は実際の不動産詐欺事件を題材にしており、巧妙な手口をリアルに描いた点が評価された。実話を基にしたサスペンスとして、国内外で関心を集めている。
また、村井純教授が30周年記念特別賞を受賞した。村井教授は日本のインターネット黎明期から発展に寄与しており、その功績が改めて称えられた形だ。
今後、日本映画においてフルCGの活用がますます進むことは間違いないだろう。
特に「ゴジラ-1.0」の成功が示すように、国内外の観客に訴求するためには高度なVFX技術が不可欠になると考えられる。
ハリウッドではすでにフルCGが主流となっているため、日本もその流れに追随していくだろう。
一方で、特撮文化の継承も重要な課題となる。
すべての作品がフルCG化するわけではなく、アナログ技術とデジタル技術を融合させる試みも求められるだろう。たとえば、特撮独特の物理的な質感を生かしつつ、CGで補完するハイブリッドな手法が今後の主流となるかもしれない。
また、若手クリエイターの育成も急務だ。
「ゴジラ-1.0」の成功の背景には新世代の技術者の活躍がある。この流れを継続し、国内のVFX技術をさらに発展させることが、日本の映像産業の競争力強化につながるだろう。
今後はゲーム業界やアニメ業界との技術的な融合が進み、新たな表現の可能性が広がると考えられる。
※AMDアワード:一般社団法人デジタルメディア協会(Association of Media in Digital、略称AMD)が主催する賞で、優れたデジタルコンテンツを表彰し、業界の発展と人材育成を目的とする。