アカマイ、サイバーセキュリティとクラウド事業で新たな成長戦略を展開

2025年3月21日、アカマイ・テクノロジーズは、過去10年間で事業戦略を大きく転換し、サイバーセキュリティとクラウドコンピューティング分野に注力していることを説明会にて発表した。
2024年の売上高は約39億9100万ドルに達し、サイバーセキュリティ事業が全体の51%を占めるまでに成長した。
同社は今後もこれらの分野での強化を図り、2030年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指すなど、サステナビリティへの取り組みも推進している。
サイバーセキュリティとクラウドへの戦略的シフト
アカマイは、従来のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)(※1)事業から、サイバーセキュリティとクラウドコンピューティングへのシフトを進めている。
2014年には売上高の85%をCDN事業が占めていたが、2024年にはその割合が33%に減少し、サイバーセキュリティが51%、クラウドコンピューティングが16%を占めるまでに拡大した。
2024年の総売上高は約39億9100万ドルで、その内訳はサイバーセキュリティが約20億4300万ドル(前年比16%増)、クラウドコンピューティングが約6億3000万ドル(前年比25%増)、CDN事業が約13億1800万ドル(前年比14%減)となっている。
サイバーセキュリティ分野では、アカマイは分散処理による豊富な脅威インテリジェンスを活用し、インフラセキュリティ、アプリケーションセキュリティ、APIセキュリティ、ゼロトラストセキュリティ(※2)の4つの分野に注力している。
これにより、多層防御を提供し、顧客の多様なセキュリティニーズに対応している。
また、クラウドコンピューティング分野では、フルスタックコンピューティングとストレージサービスを提供する「Core」と、最適なパフォーマンスを提供する「Edge」の2つのカテゴリーでサービスを展開している。
これにより、顧客は高いパフォーマンスとスケーラビリティを享受できる。
今後の展望
アカマイは、2025年に向けて、セキュリティとクラウド分野でのさらなる強化を図っている。
セキュリティ面では、組織の防御力を強化し、複雑なアーキテクチャに対応する堅牢なセキュリティを提供することに注力している。
クラウド分野では、マルチクラウドポータビリティ(※2)を活用し、データの分散配置による低遅延化を実現することを目指している。
特に、AI技術への投資が増加する中、AIを活用したセキュリティ対策の進化が求められる。攻撃者もAIを利用して攻撃手法を高度化させる可能性があり、防御側もAIを駆使した高度なセキュリティ対策を講じる必要があるだろう。
さらに、アカマイは2030年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにし、100%再生可能エネルギーへの移行を目指すなど、サステナビリティへの取り組みも推進している。 これらの取り組みは、環境への配慮を強調し、企業の社会的責任を果たすものであると考えられる。
※1
コンテンツ配信ネットワーク(CDN)
インターネット上でコンテンツを効率的に配信するための分散型サーバーネットワーク。ユーザーに近いサーバーからコンテンツを提供することで、高速な配信と負荷分散を実現する。
※2
ゼロトラストセキュリティ
全てのユーザーやデバイスを信頼しない前提で設計されたセキュリティモデル。ネットワーク内外を問わず、全てのアクセスを検証し、最小限の権限を付与することでセキュリティを強化する。
※3
マルチクラウドポータビリティ
複数のクラウドサービスプロバイダー間でアプリケーションやデータを移行・運用できる能力。特定のプロバイダーに依存しない柔軟なクラウド戦略を可能にする。